ABSTRACT 1890(P7-9)
ヒト肺腺がん細胞株PC―14から高転移細胞及び低転移細胞の樹立:岡田信子、長町康弘、清水公裕、竹内佳織、横田淳( 国立がんセ・研・生物 )
Establishment of cell lines with high- and low-metastatic potential from PC-14 human lung adenocarcinoma : Nobuko OKADA, Yasuhiro NAGAMACHI, Kimihiro SHIMIZU, Kaori TAKEUCHI, Jun YOKOTA ( Biol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst. )
転移のメカニズムを解明する目的で、転移能の異なる細胞株が数多く樹立されている。しかしながら、ヒト肺がんでは同じ親株に由来した転移能の異なる細胞株は樹立されていない。そこで、我々は、肺腺がん細胞株PC-14を用いて複数の高転移株と低転移株の樹立を試みた。その結果、高転移株3株と低転移株4株を樹立することができた。まず、高転移株を得る為にPC-14細胞をマウスの尾静脈から注入し、肺やリンパ節に形成された転移巣を摘出し、培養して増殖した細胞を再びマウスの尾静脈から注入した。以上の操作を4回繰り返し行い、より転移能の高い細胞株 Lu-2、Lu-4、Lu-7の3株を選別した。又、低転移株を得る為にはPC-14細胞から単細胞を分画して培養した後に、マウスの尾静脈から注入して肺及びリンパ節へ転移しない細胞株を選別した。その結果、 3S、7S、8S、13Sの4株を得ることができた。本会では、これ等7種の細胞株の樹立と性質について報告する。