ABSTRACT 1891(P7-9)
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低転移性および高転移性ルイス肺癌細胞のアポトーシスに及ぼすhomotypic aggregation の効果:竹永啓三1,越川信子2(千葉がんセ・研・1化療,2病理)

Effect of homotypic aggregation on apoptosis of low- and high-metastatic Lewis lung carcinoma cells : Keizo TAKENAGA1, Nobuko KOSHIKAWA2 (Div. of 1Chemother. and 2Pathol., Chiba Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】近年、転移能とアポトーシス抵抗性とが相関するという報告がなされている。我々は、ルイス肺癌由来低転移性 (P29) および高転移性細胞 (A11) のアポトーシス抵抗性を比較し、A11細胞の方が低血清濃度や低酸素によるアポトーシスの誘導に対して抵抗性を示すことを見出している。しかし、これらの細胞の皮下腫瘍内では、血管新生が惹起される以前においても、アポトーシスを起こしている細胞の割合は少なく、また、両腫瘍間で差は認められない。本研究では、P29 皮下腫瘍内では細胞同士が密に接触しているためにアポトーシスが起き難くなっているのではないかと想定し、homotypic aggregation の影響を調べた。【方法】アポトーシスは低血清濃度条件下で細胞を培養することにより誘導し、DNA fragmentation、細胞核の断裂や凝縮、TUNEL 染色等により検出した。【結果】低血清濃度下で、同数の P29 細胞を単層あるいは細胞凝集塊の状態で培養したところ、細胞凝集塊の方でアポトーシスが顕著に抑制されることが判った。しかし、A11 細胞ではこのような現象は殆ど認められなかった。【考察】低転移性 P29 細胞のアポトーシスはhomotypic aggregation により抑制される機序があるのではないかと推察された。一方、高転移性A11 細胞のアポトーシスはhomotypic aggregation の影響を殆ど受けないことが判った。自然転移では、原発巣から遊離した後の細胞死の起こり難さが転移能を規定する一つの重要な要因になるのではないかと推察される。