ABSTRACT 1892(P7-9)
ハムスター膵癌の膵内移植モデルにおける肝転移の特性の検討:柳 健1,恩田昌彦1,内田英二1,小林 匡1,相本隆幸1,井上松応1,中村慶春1,山村 進1,松下 晃1,田尻 孝1,内藤善哉2,浅野伍朗2(日本医大 1一外,2二病理)
Study on the characteristics of liver metastasis in the implanted pancreatic cancer of hamster: Ken YANAGI1, Masahiko ONDA1, Eiji UCHIDA1, Tadasi KOBAYASHI1, Takayuki AIMOTO1, Matsuo INOUE1, Yoshiharu NAKAMURA1, Susumu YAMAMURA1, Akira MATSUSHITA1,Takashi TAJIRI1, Zenya NAITO2, Goro ASANO2 (11st Dept. of Surg., 22nd Dept. of Pathol., Nippon Med.Sch.)
[目的]今回、われわれの樹立したハムスター膵癌細胞株の同種膵内移植による肝転移モデルを使い、膵癌の肝転移の特性を検討した。[方法]BOP誘発ハムスター膵癌細胞株(PGHAM-1,PGHAM-2)をそれぞれ5百万個を膵脾葉に移植し21日目に剖検、膵腫瘍について、血管新生因子をVEGF染色にて、また腫瘍増殖能をAg-NORs染色にて比較検討した。
[結果] 肝転移が認められたのはPGHAM-1群で14/20例(70%)、PGHAM-2群で0/20例(0%)であった。VEGF染色では両群ともに、原発巣では腫瘍先進部が強陽性となった。Ag-NORs数に関してPGHAM-1群(8.0±1.47)は PGHAM-2群(6.4±1.40)に比して有意に高値を示した。
[結語]PGHAM-1群とPGHAM-2群では、VEGF染色で両者ともに強陽性を示し、差が認められなかったことより、肝転移には血管新生因子の関与は少ないと考えられた。一方、Ag-NORs数は有意な差を認めたことより、腫瘍増殖能が肝転移に関与している可能性が示唆された。