ABSTRACT 1895(P7-9)
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微小肝転移巣の血管構造に関する実験的検討:権田 剛,石田 秀行,吉永圭吾,杉原健一(東京医科歯科大学第二外科)

Experimental studies on the vascularization of small liver metastases:Tsuyoshi GONDA, Hideyuki Ishida, Keigo YOSHINAGA, Kenichi SUGIHARA(2nd Dept. of Surg., Tokyo Medical and Dental Univ.)

【目的】鋳型走査電子顕微鏡法を用いて,微小肝転移巣内の血管構造を検討した。【方法】エーテル麻酔下にドンリュウラット(160g〜200g)を開腹し,前腸間膜静脈分枝より,5×1000000個/0.3mlに調整した腹水肝癌AH60C細胞浮遊液を注入して肝転移モデルを作成した。細胞注入7日後再開腹し,大動脈または門脈よりresin樹脂(商品名Mercox)を注入し肝を摘出した。摘出肝を20%水酸化カリウム溶液に浸漬して肝実質を溶解し,動脈鋳型,門脈鋳型を作成した。【結果】1.正常肝:動脈より注入した樹脂は肝動脈,sinusoid,門脈に認められた。門脈から注入した樹脂はperibiliary plexus (以下PBP)の venous layerまでは認められたが, arterial layer及び肝動脈には認められなかった。2.担癌肝1)動脈鋳型(n=30):肝転移巣はsinusoid構造が全くみられない300〜2000μの blank-space として確認された。内部には不規則な血管構造が存在し,細動脈枝およびPBPと交通を認めた。2)門脈鋳型(n=30):転移巣はsinusoid構造や血管構造が全くみられないblank-space として確認された。【考察】微小肝転移巣の血液供給は動脈経由のみであり,これには,動脈系の中でも肝動脈枝のみでなく,胆管周囲に発達するPBPが関係していることが明らかになった。