ABSTRACT 1897(P7-9)
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転移性Eker rat腎癌細胞株の確立
福田智一1,2、平山榕子1、前田 浩1、小西陽一2、樋野興夫11癌研・実験病理、2奈良医大・がんセ・腫瘍病理)

Establishment of metastatic Eker renal carcinoma cell line:Tomokazu FUKUDA1,2, Youko HIRAYAMA1, Youichi KONISHI2, Okio HINO1(1Dep. of Exp. Pathology Cancer Institute, 2Dep. of Oncol. Path. Nara medical Univ.)

「目的」腎癌の転移を研究することはヒトの臨床に重要である。そこで遺伝学的にリファインされた腎癌モデルでありかつ転移能の見られないEker ratの腎癌由来細胞を転移性細胞に改変し、その転移に関与する遺伝子群を単離・同定することを目的に本実験を行った。
「方法」Eker rat腎癌由来細胞Lk9dLをgelatin spongeとともにnude miceの皮下に移植した。肺転移の見られた個体の皮下腫瘍を可移植性腫瘍として確立し、さらに転移能を高めるために皮下から肺へ自然肺転移した腫瘍巣を別の皮下へ移植するin vivo selectionを2回行った。そうして得られた腫瘍株より培養細胞を樹立しS-Lk9d-SLMと名付けた。
「結果」親株であるLk9dLはin vitroにおい紡錘状の形態をとる細胞であったがS-Lk9d-SLMは敷石状の形態をとる細胞形態に変化した。また我々はEker ratの持つTsc2遺伝子に存在するEker insertionの有無より細胞由来は両者ともEker rat腎癌であることを確認した。Nude miceにおいてS-Lk9d-SLMは親株であるLk9dLにない転移能を獲得した。現在この2者間で発現量に差のある遺伝子群をcDNA-Subtraction法を用いて単離・同定中である。