ABSTRACT 1898(P7-9)
ラット前立腺癌肺転移モデルを用いた癌転移進展の経時的な検討:趙来源1, 二口 充2, 橋本 俊1, 鈴木達也1, 真辺忠夫1, 白井智之2 (1名市大・医・1外科, 2 名市大・医・1病理)
Sequential analysis of lung metastasis of rat prostatic carcinoma induced by DMAB+TP : Laiyuan ZHAO1, Mitsuru FUTAKUCHI2, Takashi HASHIMOTO1, Tatsuya SUZUKI1, Tadao MANABE1, and Tomoyuki SHIRAI2 (11st. Dept. Surg. Nagoya City Univ. Med. Sch., 2 1st. Dept. Pathol. Nagoya City Univ. Med. Sch.)
【目的】悪性腫瘍の転移はある時期に急速に進行するとの仮説をたて、この仮説を実験的に確認しその機序を追究する目的で可植性ラット前立腺癌細胞株を用いて、転移形成の経時的変化を検討した。【方法】我々の開発したラット前立腺癌モデルを用いて、継代中のラット前立腺癌組織を1mm角の小片で同種のF344雄ラットの背部皮下に2カ所移植した。移植後、5、6、8、10、11、13週に各5匹ずつ屠殺剖検し、皮下移植腫瘍および肺を中心に組織標本を作成した。肺では検索単位面積あたりの腫瘍数と面積を測定し、移植腫瘍および肺転移巣に対して、PCNA陽性細胞率を測定した。【結果】移植腫瘍の体積は直線的に増大し、肺転移の頻度も直線的に増加した。しかし、単位面積あたりの肺転移巣の数および面積は11週ではそれぞれ0.007個/cm2, 0.75%であったが、13週では0.040個/cm2、1.65%と急激な増大がみられた。また、PCNA陽性細胞率は移植部腫瘍ではほぼ一定であったが、肺転移巣では10週を境に急激な上昇を示した。【結論】本モデルでは肺転移巣は11週ごろを境に急速に広がることが判明し、転移臓器における腫瘍細胞の急激な増殖率の上昇との関連が示唆された。