ABSTRACT 1911(P8-1)
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新しい腫瘍関連抗原(RCAS-1)遺伝子のクローニングと解析:中島 学、渡邊 武(九大・生医研・感染防御)

Cloning and analysis of a gene encoding a novel cancer related surface antigen (RCAS-1) : Manabu NAKASHIMA, and Takeshi WATANABE (Dept. of Molecular Immunology, Medical Inst. of Bioregulation, Kyushu Univ.)

我々は本学会において、ヒト子宮頚部腺癌細胞(SiSo)の樹立、及びこれを免疫原としたマウスモノクローナル抗体 (22-1-1抗体) の作製とその基礎的検討を報告してきた。本抗原分子は婦人科領域における検討にて子宮頚部腺癌及び扁平上皮癌、卵巣癌に高頻度に発現し、正常及び異形成細胞には発現しておらず、腫瘍マーカーとして有益であることを示してきた。さらにその発現は浸潤性の高い癌細胞に特に強く発現されていることが見出されている。今回、本抗原分子をコードする遺伝子を単離し、その蛋白構造及び機能について検討したので報告する。モノクローナル抗体22-1-1を用いて単離されたcDNA断片は約1.1kbでコザック配列を有した642bpのORFが認められ、213個のアミノ酸より成る約23kDaのコア蛋白分子 (RCAS-1) をコードしていた。アミノ酸配列から、N末側に膜貫通部、C末側にcoiled-coil構造が存在するII型膜蛋白であることが示唆された。さらに、リコンビナントGST融合蛋白を用いて、その結合活性を種々の細胞を用いて検討したところ、多くの血球系細胞株及び正常リンパ球においてRCAS-1分子に結合する細胞表面分子が存在することが確認された。現在、RCAS-1分子及びその結合分子を介した生物学的機能、癌進展における本分子の意義及び結合分子の遺伝子クローニングを試みている。