ABSTRACT 1918(P8-1)
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プロリン残基はプロテアソ−ムによる効率的なCTLエピト−プ生成に寄与する: 新原直樹1*,田中啓二2*(1住友電工・BM研,2都臨床研・化学療法,*CREST [科技団・戦略基礎])

Contribution of proline residue for efficient production of MHC class I-ligands by proteasome:Naoki Shimbara1,Keiji Tanaka2(1Biomedical R&D Dept.Sumitomo Elec.Indus.,2Tokyo Metropolitan Inst.Medical Sci.)

【目的】腫瘍抗原等の内在性抗原はプロテアソ−ムにより細胞質内で、8-10merのペプチド(CTLエピト−プ)に分解され、 MHCクラスI分子と結合し、CTLにより認識される。この際、プロテアソ−ムが、なぜCTLエピト−プをランダムに分解しないかは、不明であった。そこで、我々はCTLエピト−プ内にプロリンが多く含まれることに着目し、in vitroでのプロテアソ−ム分解系を用いて、 CTLエピト−プ生成におけるプロリンの役割を検討した。【方法】 CTLエピト−ププレカ−サ-pRL1b (SIIPGLPLSL) とpp89/162-186 (DMYPHFMPTNL)をそれぞれ含む29mer RLAktペプチドと25merのpp89ペプチドをin vitroで20Sプロテアソ−ム単独およびプロテアソ−ムアクチベ−タ−(PA28)共存下で、分解し、切断様式をHPLC, ペプチドシ−クエンサ−およびTOF-Massにより解析した。【結果および考察】 20Sプロテアソ−ムは、正確にCTLエピト−ププレカ−サ−をRLAktペプチドおよびpp89ペプチドから切り出し、PA28はその生成を2-3倍量増大させた。しかしながら、 CTLエピト−プ内の最初と2番目のプロリンをそれぞれアラニン(Ala) に置換すると著しくエピト−プ生成量を減少させた。RLAktペプチドについては、全てのポジションについてAla置換(Alaの際は、Leu) したが、P1サイト以外は、エピト−プ生成には影響がなかった。これらのことより、エピト−プ内のプロリンは、プロテアソ−ムによるランダムな分解から免れるために重要な役割をになっていることが示唆された。