ABSTRACT 1921(P8-1)
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マウス白血病RL♂1における複数の拒絶抗原の発現 ― Akt抗原の優位性とtumor escapeへの関与:俵 功1、松尾 光敏1,2、本多 伸一郎1,3、和田 尚1、上中 明子1、中山 睿一11岡山大・医・寄生虫、長崎大・医・2第二外科、3腫瘍医学)

Expression of multiple rejection antigen on murine leukemia BALB/c RL♂1 - the dominancy and the role for tumor escape of Akt antigen :Isao TAWARA 1, Mitsutoshi MATSUO1,2, Shinichiro HONDA1,3, Hisashi WADA1,AkikoUENAKA1, and Eiichi NAKAYAMA1( Dept. 1Parasitol. and Immunol., Okayama Univ., Med. Sch.,Dept. 2Surgery, 3Oncology, Nagasaki Univ., Med. Sch.)

[目的]BALB/c放射線白血病RL♂1は特異的CTL認識抗原として原癌遺伝子akt由来ペプチドpRL1aを発現しているが、BALB/cでは5x105以上接種時に拒絶されない。今回、我々はAkt抗原陰性のRLmale1変異株を作製、Akt抗原と腫瘍拒絶回避(tumor escape)との関連を検討した。
[方法]RL♂1をpRL1a認識 CTLと培養し免疫選択によりRL♂1変異株RM2-1を作製した。抗原の発現は細胞内FACS解析、Western blot法で、mRNAの発現はNorthern blot法によった。また細胞傷害活性は51Cr遊離法により測定した。in vivo での腫瘍増殖は皮内接種後の腫瘍径の測定により検討した。
[結果]RM2-1ではWestern blot法、細胞内FACS解析およびNorthern blot法にてRL♂1に認められる変異Aktの発現は認められず、pRL1a特異的 CTLには認識されなかった。in vivoではRM2-1はRL♂1拒絶不能量の10倍量接種においても拒絶された。RM2-1刺激によりCTLは誘導されRLmale1に対しても細胞傷害活性が認められた。またRL♂1は接種後に抗CD4抗体投与により拒絶された。
[考察]RM2-1を用いた実験結果よりRL♂1にはAkt以外の拒絶抗原の存在が明らかとり、さらにAkt抗原は拒絶抗原としてのみならずCD4陽性細胞を介してtumor escapeに関与していることが示唆された。