ABSTRACT 1922(P8-1)
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乳癌における合成糖鎖抗原F1αの発現:川崎史寛,仲田文造,小川佳成,横松秀明,山下好人,平川弘聖(大阪市大・医・1外)

Expression of a synthetic carbohydrate chain F1α in breast cancer tissue : Fumihiro KAWASAKI, Bunzo NAKATA, Yoshinari OGAWA, Hideaki YOKOMATSU, Yoshito YAMASHITA, Kosei HIRAKAWA (1st. Dept. of Surg., Osaka City Univ. Med. School)

【目的】癌の発生において細胞表面の糖鎖構造が変化することが知られている。合成糖鎖抗原F1αは糖鎖構造が明らかであり、この発現を乳癌患者組織において検討した。
【材料・方法】乳癌患者82例のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックより薄切切片を作成し材料とした。癌関連の合成糖鎖抗原F1α(Galβ1→4GlcNAcβ1→6GalNAcα1→3Ser/Thr)を免疫原として作成されたモノクローナル抗体F1α-75を用いて免疫組織学的染色を行った。
【結果】乳癌組織におけるF1αの発現は56.1%であった。正常乳腺組織では発現が見られなかった。組織型、リンパ節転移度(pN因子)、腫瘍径および組織波及度(pT因子)とF1αの発現との間には相関を認めなかった。stage I, II, IIIのF1αの陽性率はそれぞれ56.6, 50.0, 61.5%であり、stage間で有意差はなかった。予後についてF1αの陽性群、陰性群で分けるとlog-rank検定でP=0.195であり、有意差を認めなかった。
【結論】糖鎖抗原F1αの発現は、癌の早期より発現しているが、癌の進展には関与していないと思われた。