ABSTRACT 1929(P8-3)
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メラノサイト関連疾患(メラノーマ・原田病)におけるCD4+T細胞が認識するTyrosinaseエピトープの解析: 佐藤啓介,小林博也,小久保拓,高橋学位,木村昭治,片桐 一(旭川医大・2病理)

Tyrosinase epitopes recognized by CD4+ T cells from melanocyte-related disease individuals. : Keisuke SATO, Hiroya KOBAYASHI, Taku KOKUBO, Michinari TAKAHASHI, Shoji KIMURA, Makoto KATAGIRI(Dept of Pathol.,Asahikawa Med. College)

【目的】癌免疫の制御を考える上でCD8+CTLの働きは重要であるが,各種サイトカインを産生しCD8+CTLに対してヘルパー作用をもたらすCD4+T細胞の存在も重要である。しかしこれまでに腫瘍抗原ペプチドによるCD4+T細胞活性化の解析に関する報告は少ない。本研究は,メラノーマ抗原の一つであるtyrosinaseの合成ペプチドを用いてメラノーマ患者末梢血から得られたCD4+T細胞のtyrosinaseエピトープの同定を主目的とした。又tyrosinaseは原田病の標的自己抗原となりうることから原田病患者末梢血を用いて同様の解析を行った。【方法】tyrosinaseの全アミノ酸配列を含む21残基長のオーバーラッピングペプチドを合計46種類合成し,患者の末梢血単核球にこれらをパルスした。その後複数回低濃度のIL-2存在下で刺激を繰り返し,反応が認められたbulk lineより,マグネティクビーズを用いてCD4陽性T細胞を単離した。そして各ペプチドに対する増殖反応を検討した。【結果】1例のメラノーマ患者から,CD4CD8-のtyrosinase 特異的T細胞クローン(TCCS11)が樹立された。TCCS11は,HLA-DR15(DRB1*1501)拘束性にtyrosinase p386-406 を認識した。更に数種類のメラノーマ細胞のライセートをパルスした自己のAPCを認識した。又TCCS11はペプチド及びライセートに対して,IFN-γを優位に産生した。一方原田病患者末梢血からは,HLA-DR4(DRB1*0405)拘束性にtyrosinase p188-208 を認識するCD4+T細胞ラインが樹立され,この部位には,HLA-DRB1*0405結合モチーフが認められた。【考察】in vitro でメラノーマ及び原田病患者末梢血から,HLA-DR拘束性にtyrosinaseペプチドを認識するCD4+T細胞クローン,ラインが誘導された。CD8+CTLの誘導にはCD4+ヘルパーT細胞の関与が重要である。今回明らかにされたtyrosinaseペプチドはHLA-DR分子に提示され得る抗メラノサイトCD4+T細胞応答を惹起するセルフペプチドになる可能性が示唆された