ABSTRACT 1936(P8-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


IL-12によるT細胞腫瘍組織内浸潤に関与する腫瘍内血管の組織学的検討:小川 真1、梅原一成1、于 文功1、岩崎正幸1、植草康浩1、辻村崇浩2、藤原大美1、濱岡利之1(1阪大・医・バイオセ・腫瘍発生,2住友病院・病理)

Histological analysis of intratumoral blood vessels mediating IL-12-induced T cell migration into tumor masses: Makoto OGAWA1,Kazunari UMEHARA1,Wen-Gong YU1,Masayuki IWASAKI1,Yasuhiro UEKUSA1,Takahiro TSUJIMURA2,Hiromi FUJIWARA1,Toshiyuki HAMAOKA1 (1Biomed. Res. Ctr., Osaka Univ. Med. Sch.,2Sumitomo Hosp. Dept. Pathology)

[目的]我々は以前、IL-12によるT細胞の腫瘍局所浸潤において、腫瘍塊のT細胞acceptabilityの発現に、腫瘍内血管内皮細胞上の接着分子発現が重要であることを報告した。今回は、腫瘍組織内における血管の局在及び血管内皮細胞上の接着分子の発現について組織学的に検討を行った。[方法]IL-12奏効性の線維肉腫細胞CSA1M original (以下Co)及びそのIL-12抵抗性variantであるCSA1M variant (以下Cv)を同系マウスの皮下に移植して担癌マウスを作成した。腫瘍塊のHE染色及び免疫組織化学標本を作成した。[結果及び考察] (1)IL-12非投与Co担癌マウスの腫瘍塊HE標本において、血管は腫瘍周辺部の間質に多く認められたが、腫瘍実質部にはごくわずかにみられた。一方、Cv腫瘍塊では血管は腫瘍周辺部間質にはほとんど認められず、血管のほとんどは実質内に存在した。(2)IL-12非投与担癌マウスの腫瘍塊について、CD31及びVCAM-1,ICAM-1の発現を免疫組織化学法にて検討したところ、CD31の発現分布はHE標本における血管の分布と同様であった。また、VCAM-1及びICAM-1の発現は、Co腫瘍塊の間質内血管にのみ認められ、両腫瘍塊の実質部血管には認められなかった。(3)IL-12投与担癌マウスの腫瘍塊HE標本では、接着分子陽性血管の存在するCo腫瘍周辺間質部に多数のリンパ系細胞浸潤が認められ、両腫瘍塊の実質内血管周囲には浸潤は認められなかった。以上、IL-12による腫瘍内T細胞浸潤及びIL-12による治療の効果発現において、腫瘍周辺部間質内に存在する接着分子陽性血管が重要な役割を持つことが示された。