ABSTRACT 1939(P8-3)
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単一ヘルパーT細胞エピトープワクチンによるフレンド白血病の発症阻止機構: 丹羽淳子1, 岩波礼将1,2, 松村治雄1, 上西博英2, 山岸秀夫3, 宮澤正顕11近畿大・医・免疫, 2京大・理・生物物理, 3日本体質研究会)

Effector mechanisms in protective immunity against Friend virus leukemia induced with a single-epitope T helper cell vaccine: Atsuko NIWA1, Norimasa IWANAMI1,2, Haruo MATSUMURA1, Hirohide UENISHI2, Hideo YAMAGISHI3, Masaaki MIYAZAWA1 (1Dept. Immunol., Kinki Univ. School Med., 2Dept. Biophys., Kyoto Univ. Faculty Sci., 3Health Res. Found.)

【目的・方法 】フレンド白血病ウイルス(FV) env遺伝子産物上の単一のCD4T細胞エピトープを含む合成ペプチドは、FV誘発白血病の発症阻止に著効を示す。この機構を解明するため、合成ペプチドで免疫したCB6F1マウスにFVを接種後、7日目の脾臓より分取した各リンパ球サブセット及び血清を無免疫のFV感染マウスへ移入し、白血病発症経過を観察した。
【 結果と考察 】B220, TER-119画分のみ及び CD8, CD4, B220画分と血清を移入した群で、無免疫群に比し明らかな生存期間延長を認めた。しかし、CD4或いはCD8細胞の単独移入では生存延長効果はなかった。一方、この合成ペプチド(18mer)と等モルの13merコアペプチドの1回投与でも、完全な白血病発症阻止を認めたが、in vitroでヘルパーT細胞クローンによる認識が著しく低下する12merでは効果がなかった。脾細胞内サイトカインは、免疫マウスでFV接種後2日目までにIFN-γ産生増加を認めた。即ち、単一エピトープワクチンによるフレンド白血病発症阻止には、CD4T細胞のみの感作が必要十分であるが、CD4T細胞はエフェクターではなく、IFN-γ産生を介してCD8細胞と中和抗体とがエフェクターとして誘導されることが示唆された。現在ノックアウトマウスやIFN-γ中和抗体を用いた実験が進行中である。