ABSTRACT 1941(P8-3)
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肺癌患者における HLA-A2 結合性抗原ペプチドを用いた細胞障害性Tリンパ球の誘導:榮福亮三1,竹之山光広1,吉野一郎1,宗 知子1,今林 悟1,花桐武志1,菅谷将一1,安田学1,市吉裕二1,野本亀久雄2,安元公正1 (1 産業医大, 2 外科,2九大、生医研)

Induction of cytotoxic T lymphocytes using HLA-A2 binding tumor antigen peptide : Ryozo EIFUKU1, Mitsuhuiro TAKENOYMA1, Ichiro YOSHINO1, Tomoko SO1, Satoru IMAHAYAHSI1, Takeshi HANAGIRI1,Masakazu SUGAYA1, Manabu YASUDA1,Yuji ICHIYOSHI1, Kikuo NOMOTO2, Kosei YASUMOTO1 (1Dept. of surg.II, Univ. of Occupational and Environmental Health,2Dept. Immunol., Inst. of Bioregul., Kyushu Univ.)

【目的】肺癌における細胞障害性Tリンパ球(CTL)の標的分子として肺癌に高率に発現を認める MAGE-3, p53 蛋白の可能性を解析するため、抗原由来のペプチドに対する特異的 CTL を誘導し解析した。【方法】HLA-A2陽性健常人末梢血単核球(PBMC),HLA-A2陽性肺癌患者由来腫瘍内浸潤リンパ球(TIL),局所リンパ節リンパ球 (RLNL)を分離しIL-7,IL-2 およびMAGE-3ペプチドもしくは野生型p53ペプチドにて1週間培養後,IL-2存在下に週1回,計3回ペプチド刺激を行なった。各肺癌細胞株に対するCTL感受性を51Cr release assayにて評価した。【結果】1)健常人末梢血より高い活性を有するMAGE-3ペプチド特異的CTL,p53ペプチド特異的CTLを誘導し得た。2)MAGE-3ペプチド特異的CTLはHLA-A2陽性かつMAGE-3陽性肺癌細胞株3株全てに細胞障害性を示した。p53ペプチド特異的CTLはHLA-A2陽性かつp53陽性肺癌細胞株4株の内2株に細胞障害性を認めた。3)肺癌患者TILまたはRLNLよりMAGE-3 陽性7例中2例,及び陰性12例中3例 よりMAGE-3ペプチド特異的CTLが誘導された。またp53 陽性8例中2例,及び陰性12例中3例よりp53 ペプチド特異的CTLが誘導された。 【結語】HLA-A2結合性MAGE-3ペプチドおよび野生型p53ペプチド特異的CTLは肺癌細胞の内因性抗原も認識しうることよりこれらのペプチドを標的分子とした免疫療法が期待されるが,腫瘍組織における抗原発現とCTL前駆細胞の存在は必ずしも合致せず,治療対象例の選択が必要と考えられた。