ABSTRACT 1942(P8-3)
HLA A-24結合性MAGE-3由来epitopeを用いたMAGE-3発現膀胱癌細胞に対するcytotoxic T-cellの誘導:西山 徹1,橘 政昭1,中村 佳代子2,池田 康夫3,村井 勝1(慶大・1泌,2放,3内)
Induction of cytotoxic T cell against a MAGE expressing bladder tumor using an HLA A-24 binding MAGE-3 epitope peptide: Toru NISHIYAMA1, Masaaki TACHIBANA1, Kayoko NAKAMURA2, Yasuo IKEDA3, Masaru MURAI1 (1Dept. of Urology, Sch. of Med., Keio Univ., 2Dept. of Radiology, Sch. of Med., Keio Univ., 3Dept. of Int. Med., Sch. of Med., Keio Univ.)
【目的】近年の腫瘍抗原の解明に伴い、免疫療法が再度注目を集めている。本研究では、腫瘍特異的抗原として多種の癌腫に発現しているメラノーマ抗原(MAGE)に注目し、MAGE発現膀胱癌細胞株に対して、患者自己リンパ球よりcytotoxic T-lymphocyte (CTL)の誘導を計り、膀胱癌に対する免疫療法の可能性を探ることを目的とした。【対象ならびに方法】膀胱癌症例のリンパ球を用いて樹状細胞とHLA A-24結合性MAGE-3 epitope peptide (IMPKAGLLI)によるMAGE認識CTLの誘導を試み、自己の腫瘍由来のMAGE発現膀胱癌細胞株である FY cellに対する殺細胞効果を51Cr release assayで評価した。FY cellを抗HLA class I抗体で処理し、殺細胞性の変化を調べた。【結果】IL-2、IL-12を用いた自己リンパ球とFY cellとの混合培養により誘導したCTLに比して、樹状細胞とHLA A-24結合性MAGE-3 epitopeを用いて誘導したCTLのFY cellに対する殺細胞効果は有意に高かった。また、このCTLの殺細胞性ははFY cellを抗HLA抗体で処理することにより著明に低下し、MHC Class I拘束性にMAGE-3を認識していると考えられた。【まとめ】MAGE epitopeおよびDCを用いた腫瘍特異的CTLの誘導が浸潤尿路上皮癌に対する治療に利用できる可能性が示された。