ABSTRACT 1952(P8-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


腫瘍特異的MHCクラス I ペプチドによるCTLの誘導と自己反応性CD4 T細胞の役割: 本多伸一郎1,2、小野俊朗1、上中明子1、中山睿一11岡山大・医・寄生虫、2長崎大・医・腫瘍)

CTL induction by in vitro sensitization with H-2 Ld-binding tumor antigen peptide (pRL1a): Shinichiro HONDA1,2 Toshiro ONO1, Akiko UENAKA1, Eiichi NAKAYAMA1 ( 1Dept. Parasitol. and Immunol., Okayama Univ. Med. Sch., 1,2Dept. Oncol., Nagasaki Univ. Med. Sch.)

(目的) 腫瘍拒絶抗原ペプチドの免疫原性は一般に弱く、これを用いた特異的CTLの誘導は困難である。放射線白血病RL♂1拒絶CB6F1マウスの脾細胞をin vitroでCTL認識抗原ペプチド(pRL1a)を用いて再刺激することにより腫瘍特異的CTLの誘導が可能である。この誘導における自己反応性CD4 T細胞の関与を検討した。
(方法) 1.in vitro CTL誘導: RL♂1拒絶F1マウスの脾細胞をin vitroでpRL1a-ペプチドにて再刺激した。 2.CD4 T細胞の除去: モノクローナル抗体と補体による処理によって行った。 3.CD4 T細胞の細胞増殖試験: 3H-thymidineの取り込みにより検討した。4.IL-2の測定: IL-2依存性細胞によるbioassayにて行った。
(結果と考察) 1.CD4 T細胞の除去によりペプチドのCTL誘導能は消失した。 2.CD4 T細胞除去後、rIL-2の添加によりCTL誘導は回復した。 3.腫瘍拒絶F1マウスのCD4 T細胞はRL♂1,pRL1aに対して特異的な反応を示さなかった。 4.腫瘍拒絶F1マウスのCD4 T細胞のみの培養上清中にIL-2の産生を認めた。5.RL♂1腫瘍のみならず、他の腫瘍を拒絶したF1マウスのCD4 T細胞によってもpRL1a特異的CTLが誘導された。 以上の結果よりクラス I ペプチドを用いたin vitro CTL誘導においてIL-2 producerとしての自己反応性CD4 T細胞は重要であり、その自己反応性CD4 T細胞は種々の腫瘍の拒絶に際して活性化されると考えられた。