ABSTRACT 1955(P8-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


IL-12投与により誘導されるIFN-γ産生と抗腫瘍効果発現に関与するリンパ系細胞集団の役割比較:梅原一成1.2, Rishani Wijesuriya1, 小川真1, 中沢光博2, 作田正義2, 藤原大美1, 濱岡利之11 阪大・医・バイオセ・腫瘍発生, 2阪大・歯・2口外)

Differential requirements for distinct lymphoid subsets in the induction of IFN-γ production and anti-tumor effects following IL-12 treatment. : Kazunari UMEHARA , et al. (Biomed. Res. Ctr., Osaka Univ. Med. Sch.)

[目的]我々はこれまでIL-12により誘導される固型腫瘍の拒絶においてはT 細胞とIFN-γが必須であることを明らかにしてきた。しかしながらIFN-γはT 細胞のみならずNK又はNKT 細胞から産生されること及びNK/NKT細胞の抗腫瘍効果も報告されている。そこで今回、固型腫瘍の拒絶とIFN-γ産生におけるT 細胞とNK/NKT細胞の役割を比較検討した。
[方法]腫瘍には (B6エC3H)F1由来OVーHM卵巣癌細胞を用いた。CD4、CD8 T 細胞及びNK1.1細胞を生体内で除去する為、それぞれに対応するmAbを数回腹腔内に投与した。IL-12投与後血中に産生されるIFN-γ量はELISAにて測定した。
[結果及び考察](1)OVーHM皮下固型腫瘍はrIL-12 (0.5 μg/mouse)を3回腹腔内に投与することにより拒絶される。IL-12治療直前に抗CD4、抗CD8 mAbを投与すると、両mAb投与群においてのみ腫瘍拒絶が抑制された。しかし一方のmAb単独投与は腫瘍拒絶に影響を及ぼさなかった。(2)腫瘍移植前より抗CD4又は抗CD8mAb投与し、一方のsubsetのT 細胞除去後、腫瘍を移植してIL-12治療を行うと、いずれの群においてもIL-12治療効果はみられなかった。(3)一方、腫瘍移植前より抗NK1.1 mAbを投与し、NK1.1細胞を除去したマウスに腫瘍移植しIL-12治療を行うと、抗NK1.1非投与群と同程度の速度で腫瘍は拒絶された。(4)CD4/CD8T 細胞除去群とNK1.1細胞除去群でIL-12を3回投与した後の血中IFN-γ量を測定したところ、それぞれ対照群の約80-90%及び10%程度の産生量であり、IL-12による血中IFN-γの産生の大部分はNK1.1細胞によって担われていることがわかった。 以上、NK1.1細胞はIFN-γのmajor producerであるが固型腫瘍の拒絶への貢献は少ないこと、CD4/CD8T 細胞が拒絶に必須で、T 細胞とそれらが産生する少量のIFN-γが協調的に固型腫瘍の拒絶に働くことが示された。