ABSTRACT 1957(P8-3)
マウス大腸癌colon 26細胞を用いた腫瘍細胞による免疫抑制作用の宿主免疫反応性の解析:大谷圭1,2, 小幡徹2, 菊池哲郎2, 本間定1,2, 山田順子2, 高橋宏樹1, 銭谷幹男1,2, 戸田剛太郎1, 大野典也2(1慈恵会医大・内1, 2DNA医研、)
The analysis of immunosuppression with colon 26 tumor cells bearing animals: Kay OHTANI1,2, Tohru OBATA2, Tetsuro KIKUCHI2, Sadamu HOMMA1,2, Junko YAMADA2, Hiroki TAKAHASHI1, Mikio ZENIYA1,2, Gotaro TODA1, Tsuneya OHNO2 (1Dept.1st Int. Med., 2DNA Med. Inst.)
(目的)我々はcolon 26細胞を用い、腫瘍移植後から腫瘍増殖による死亡時までの経過中における宿主免疫細胞の機能を経時的に解析し、またcolon 26細胞がどのような機構にて宿主の免疫監視機構を逸脱するのかを検討した。
(方法) Balb/cマウスにcolon 26細胞を皮下移植し、担癌時期の進行に伴い宿主の脾細胞を回収した。In vitroにて脾細胞のIL-2の産生量を測定し、この時のT細胞の表面マーカーの変化を解析した。さらに、宿主脾細胞と腫瘍細胞をin vitroで様々な条件下にて共培養し、 IL-2の産生量を測定し腫瘍細胞の免疫抑制機構を解析した。
(結果と考察) colon 26細胞移植宿主内で腫瘍特異的CTLの誘導は観察されなかったが、腫瘍の移植により脾細胞は活性化されてIL-2を産生した。しかも、このIL-2産生能は担癌末期まで比較的保たれていることが明らかになった。また、宿主脾細胞と腫瘍細胞をin vitroで共培養すると宿主脾細胞のIL-2産生は抑制された。この抑制因子を解明するために培養上清をマススペクトルにて解析した結果、colon 26細胞はPGE2を中心とする液性因子によって宿主のT細胞の機能を抑制をすることが判明した。PGE2がT細胞のIL-2産生の抑制やCTL誘導を抑制する機構を明らかにする目的でIndomethcineを培養中に添加すると脾細胞のIL-2産生の抑制の解除が認められた。