ABSTRACT 1959(P8-4)
MUC-1発現乳癌細胞刺激により誘導されたCTLのアポトーシス回避には樹状細胞あるいは癌細胞上のB7-1分子発現が必要である:紺谷桂一、澤井聡、花岡淳、一瀬増太郎、小西孝明、 手塚則明、井上修平、藤野昇三、森渥視 (滋賀医大・2外)
Expression of B7-1 by either cancer cells or dendritic cells is required for preventing CTLs induced by MLTC from MUC-1-mediated apoptotic death: Keiichi KONTANI, Satoru SAWAI, Jun HANAOKA, Masutaro ICHINOSE, Takaaki KONISHI, Noriaki TEZUKA, Shuhei INOUE, Shozo FUJINO, Atsumi MORI (2nd Dept. Surg, Shiga Univ. Med. Sci.)
【目的】これまでMUC-1発現細胞株を用いてMLTCによりCTL誘導を試みたが、CTLは抗原特異性を獲得するものの、expandすることなくアポトーシスに陥った。今回我々は、B7-1分子がMUC-1を介するCTLのアポトーシス回避に有用か否かを検討した。
【方法】B7-1発現乳癌細胞株にMUC-1遺伝子を導入し、これを用いて乳癌患者PBMCよりCTLを誘導した。あるいはB7-1欠損MUC-1発現細胞株をstimulatorとするMLTCに樹状細胞を添加してCTL誘導を試みた。CTLの細胞数を8日毎にカウントするとともに、その抗原特異性をMUC-1発現・欠損細胞株を標的としたクロム遊離試験によって解析した。
【結果】B7-1発現MUC-1遺伝子導入株で誘導されたCTLは、親株使用時と同様にexpandし、しかも選択的にMUC-1発現標的細胞を傷害した。B7-1欠損MUC-1発現細胞株をstimulatorに用いた場合は、初回刺激後まもなくCTLはapoptotic deathに陥ったが、これに樹状細胞を添加したものでは増殖能を回復した。
【結語】B7-1分子はMUC-1を介するCTLのapoptosisを抑制することから、同分子発現細胞を用いることによって簡便にMUC-1特異的CTLを誘導でき、抗癌養子免疫療法に臨床応用が可能と思われた。