ABSTRACT 1961(P8-4)
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サイトカイン・B7-1遺伝子導入腫瘍細胞による抗腫瘍免疫誘導の検討:田中洋史1,各務博1,吉澤弘久1,鈴木栄一1,濱田洋文2,荒川正昭1(1新潟大・医・2内,2癌研・癌化療セ・分子生物治療)

Antitumor immunity elicited by tumor cells transfected with cytokine and/or B7-1:Hiroshi TANAKA1, Hiroshi KAGAMU1, Hirohisa YOSHIZAWA1, Eiichi SUZUKI1, Hirofumi HAMADA2, Masaaki ARAKAWA1(1Dept.Medicine(II), Niigata University Medical School, 2Dept.Mol.Biother.Res.,Cancer Chemother.Ctr.Jap.Fdn.Cancer Res.)

【目的】私たちは、サイトカイン、B7遺伝子両者の腫瘍細胞への導入により、免疫原性のきわめて低い腫瘍においても抗腫瘍免疫応答の増強が可能であること、これら腫瘍を養子免疫療法に応用することにより、高い抗腫瘍活性を示すエフェクター細胞が誘導できることを報告した。今回、これら遺伝子導入腫瘍による抗腫瘍免疫応答増強の機序について検討した。
【方法】MCA102、B16、LLC腫瘍細胞にIL-2、IL-4、IL-6、IFN-γ、B7-1発現ベクターをLipofectin法によって導入した。これら遺伝子導入腫瘍細胞をマウスに皮下接種した。皮下接種後の腫瘍所属リンパ節細胞をin vitroで刺激感作培養し、その in vivoでの抗腫瘍効果を肺転移モデルで検討した。また親腫瘍、遺伝子導入腫瘍の所属リンパ節細胞の各種表面抗原発現の差異について検討した。
【結果および考察】1. 肺転移治療モデルにおいてB7-1とIFN-γ両者の導入腫瘍の腫瘍所属リンパ節より誘導したeffector細胞が高い治療効果を示した。 2.B7-1とIFN-γ両者の導入腫瘍の腫瘍所属リンパ節ではL-selectin 陰性細胞の比率が有意に増加していた。3.刺激感作培養後L-selectin 陰性細胞が高い抗腫瘍効果を示したのに対し、L-selectin 陽性細胞は抗腫瘍効果を示さなかった。極めて免疫原性の低い腫瘍系においても、B7-1、IFN-γの共発現が、腫瘍抗原によりprimeされた L-selectin 陰性のエフェクター前駆細胞を効率良く誘導し、養子免疫療法の効果を増強していることが明らかとなった。