ABSTRACT 1964(P8-4)
MUC1遺伝子、B7遺伝子導入K562細胞による抗腫瘍エフェクター細胞の誘導:市山雅彦1,佐伯久明1,児玉英謙2,工藤俊雄1(1東北大・加齢研・医用細胞資源センター, 2東北大・医・一外)
Induction of anti-tumor effector cells by MLTC using K562 cells cotransfected with human MUC1 gene and B7 gene:Masahiko ICHIYAMA1, Hisaaki SAEKI1,Hideaki KODAMA2, Toshio KUDO2 (1Cell Resource Ctr. for Biomedical Res., 2 1st Dept. Surg. Tohoku Univ.)
<目的>MUC1遺伝子とB7遺伝子を導入したK562細胞とヒト末梢血単核球(PBMC)をIL2存在下で混合培養(MLTC)することにより抗腫瘍エフェクター細胞を誘導し、その性状を検討した。<方法>K562細胞にelectroporation法を用いて、MUC1遺伝子、B7遺伝子を共導入し、G418で選別後、stable transformantを得た。MUC1/B7発現K562細胞をX線照射し、健常人由来のPBMCと混合培養した。無血清で培養し、開始48時間以後、rh-IL2(塩野義製薬より供与)の存在下で培養を継続した。2ー3週間後に、増殖細胞のキラー活性の測定(MTS assay)と表面抗原の解析(FACScan)を行った。<結果>1)MUC1発現細胞(TFK1;株化ヒト胆管癌細胞)とMUC1非発現細胞(CRL1579;株化ヒトメラノーマ細胞)に対する細胞障害活性は、いずれもE/T比10で95%以上と高い%cytotoxicityを示した。2)増殖細胞の表面抗原の解析ではCD3,CD8,CD16,CD56の発現を認め、特にCD56の発現が有意に高かった。<結語>MUC1/B7発現K562細胞とPBMCをIL2存在下で混合培養することにより強力な抗腫瘍エフェクター細胞を誘導可能である。その抗腫瘍活性はtargetのMUC1発現やMHCに拘束されることがなく、特にNK由来のエフェクター細胞が主な活性を担っている、と考えられる。