ABSTRACT 1969(P8-5)
NKT活性化グリコシルセラミド(KRN7000)に対する免疫応答性の遺伝的支配:太田明夫1,北村秀光1,2,松木直人1,八幡 崇 1,3,岩壁賢治1,3,大見 寧1,垣生園子3,西村孝司1,3(1東海大・医・遺伝子工学,2北大院・理・生体設計,3東海大・医・免疫)
Genetically controlled immune responses in mice against NKT-activating glycosylceramide, KRN7000: Akio OHTA1, Hidemitsu KITAMURA1,2, Naoto MATSUKI1, Takashi YAHATA1,3, Yasushi OHMI1,3, Sonoko HABU3, Takashi NISHIMURA1,3 (1Dept. Genetic Engineering, Tokai Univ. Sch. Med., 2Div. Biol. Sci., Grad. Sch. Sci., Hokkaido Univ., 3Dept. Immunol., Tokai Univ. Sch. Med.)
[目的] 最近、NKT細胞のリガンド分子として、海綿より抽出されたグリコシルセラミド(KRN7000)が同定された。我々は、今回、 遺伝的に異なった免疫素質を示すC57BL/6マウス(Th1型マウス)とBALB/cマウス(Th2型マウス)を用いてKRN7000の免疫賦活作用に対する応答性の違いを検討して、両マウスが異なった感受性を示すことを証明したので報告する。 [方法および結果] C57BL/6マウスおよびBALB/cマウス脾細胞のKRN7000 (50μg/ml)に対する応答性を検討したところ、細胞増殖、サイトカイン産生いずれにおいてもBALB/cマウス脾細胞が高値の反応を示した。また、in vivoにおいてもKRN7000 (2μg/mouse)を投与して24時間後の血中IFN-gammaレベルは、BALB/cマウスがC57BL/6マウスに比して常に高い産生量を示し、KRN7000とIL-12の併用によるIFN-gamma誘導においてもBALB/cがC57BL/6より高い値を示した。したがって、樹状細胞を介して免疫系を活性化しうるKRN7000の場合においては、Th2タイプのBALB/cマウスがTh1タイプのC57BL/6マウスよりもIFN-gamma産生能が高いことが示された。しかし、KRN7000は生体内で短時間のうちにIL-4も誘導し、C57BL/6マウスにおいては6時間後にはほぼ完全に消失するが、BALB/cマウスでは6時間後においても強いIL-4産生が認められた。したがって、KRN7000に対する免疫応答性には遺伝的支配があり、Th1型マウスではIFN-gamma優位なTh1免疫が誘導されるが、Th2型マウスにおいてはIFN-gamma, IL-4の両者が活性化される可能性が示唆された。