ABSTRACT 1975(P8-5)
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膵癌細胞におけるICAM-1発現および上清中sICAM-1値のサイトカインによる変化:澤田鉄二、山本篤、西原承浩、山下好人、小野田尚佳、八代正和、小山 剛、平川弘聖(大阪市大・医・1外)

Alteration of ICAM-1 expression and sICAM-1 level by cytokines in pancreatic cancer cells: Tetsuji SAWADA, Atsushi YAMAMOTO, Tamahiro NISHIHARA, Yoshito YAMASHITA, Naoyoshi ONODA, Masakazu YASHIRO, Tsuyoshi KOYAMA, Kosei HIRAKAWA (1st Dept. of Surg., Osaka City Univ., Med. Sch.)

【目的】転移形成において免疫応答も重要な一因であり、腫瘍認識に関わる接着分子であるIntercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)の発現低下が転移能に関与することが知られている。そこで膵癌細胞におけるICAM-1発現および培養上清中soluble ICAM-1(sICAM-1)値のサイトカイン(TNF-α, TGF-β)による変化について検討した。
【方法】肝転移能の異なる膵癌細胞(SW1990, Capan-2, PANC-1)を用い96well プレートに細胞を固相化、炎症性サイトカイン;TNF-α(2-50ng/ml)および浸潤、転移に関わるTGF-β(0.8-20ng/ml)にて細胞を24hr処理した際の抗ICAM-1抗体を用いたELISAによるICAM-1発現および培養上清中のELISA kitによるsICAM-1値の変化について検討した。
【結果】高肝転移性SW1990細胞では、他の非転移性細胞Capan-2, PANC-1に比しICAM-1発現、sICAM-1値いずれも有意に低値を示した。TNF処理にてCapan-2, PANC-1のICAM-1発現は濃度依存性に増強したのに対し、SW1990では変化はなかった。一方sICAM-1値はいずれの細胞においてもTNF処理にて有意に増強した。TGF処理では、いずれの細胞においても4, 20ng/mlで有意なICAM-1発現の低下を認めたが、sICAM-1値については変化はなかった。
【結語】膵癌におけるICAM-1発現, sICAM-1値は、種々のサイトカインによって制御されているが、転移能獲得においてTNF-αに対する不応性、および局所間質や癌細胞自体より産生されるTGF-βによるICAM-1発現の低下が関与している可能性が示唆された。