ABSTRACT 1976(P8-5)
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抗腫瘍免疫能誘導におけるB7.1およびB7.2分子の差違〜B7遺伝子導入EL4細胞を用いた組織学的検討〜:齊尾 征直,中山  崇,田中 雄一,梶原 昌治,高見 剛(岐阜大・医・第二病理)

Comparison of in vivo immune responses of B7.1 and B7.2 gene transduced EL4 lymphoma cells by immunohistochemistry: Masanao Saio, Takashi Nakayama, Yuichi Tanaka, Masaharu Kajiwara, Tsuyoshi Takami (2nd. Dept. of Pathol. Gifu Univ. Sch. of Med.)

【目的】Tリンパ球活性化においてB7.1・2/CD28・CTLA4分子を介した補助シグナルが重要であり、その欠如はT細胞の不活性化をもたらす。我々は、B7.1とB7.2分子の生体内での差違を検討する目的で、MHCクラスI分子高発現Tリンパ腫EL4にB7.1及びB7.2分子を発現させ、腫瘍局所での宿主免疫担当細胞の浸潤状態を比較検討した。【材料と方法】B7遺伝子をクローニングしEL4に形質導入後、発現株を単離した。10の6乗個の細胞をB6マウス背部皮下に接種し、腫瘍の大きさを計測し、接種後7、9、11日目の腫瘍局所での浸潤細胞の数を免疫組織化学的に検討した。【結果】B7.1導入株(EL4mB7.1#26)では、全経過にわたって野生株やmoc導入株に比べ有意な腫瘍の増殖速度の低下がみられ、B7.2導入株(EL4mB7.2#10)では、接種7日目から明らかな腫瘍の増殖速度の低下がみられた。B7.1導入株の腫瘍内浸潤細胞数は、Mac1、B220、peroxidase陽性細胞がいずれも、7から11日目へ向かい減少傾向を示したが、B7.2導入株の腫瘍内浸潤細胞数は、Mac1、B220、CD4陽性細胞がいずれも7から11日目へ向かい増加傾向を示した。【考察】腫瘍免疫においてB7.1分子は、B7.2分子に比べ重要であると報告されているが、本研究の結果から、B7.2分子単独でも有意な抗腫瘍免疫能の誘導が得られることが示された。また、B7.1とB7.2で免疫担当細胞の誘導経過に差があることは、両分子の差違を理解する上で重要な所見であると考えられた。