ABSTRACT 1977(P8-5)
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ファージディスプレイ法による抗体遺伝子のクローニングとCDR配列に基づく機能性ペプチド分子の作製:伊藤邦彦、鈴木花織、鈴木敏夫(秋田大・医病・薬剤)

Molecular cloning of immunoglobulin genes from hybridoma cells by phage display system, and preparation of CDR-based peptides: Kunihiko ITOH, Kaori SUZUKI, Toshio SUZUKI (Dept. of Pharm. Sci., Akita Univ. Hosp.)

マウスモノクローナル抗体の臨床応用に伴う問題点(アレルギー反応、HAMAの出現など)の克服を目的として、抗原結合活性を保持しながら、低抗原性、高クリアランスな機能性ペプチド分子を作製し、がんのイメージングやターゲティングにおける有用性を評価することを目的とする。出発材料として、これまで我々が、がん尿診断における有用性を報告してきた抗シュードウリジンモノクローナル抗体APU-6 (IgG1, kappa) を用いた。ハイブリドーマ細胞トータルRNAよりRT-PCR法を用いて、H鎖Fd部分およびkappa L鎖遺伝子を増幅した。得られた遺伝子断片をファージディスプレイベクターpComb3に挿入することにより、Fabファージディスプレイライブラリーを構築した。次に、シュードウリジン-BSAと選択的に反応するファージクローンを、HRP標識抗M13ファージ抗体を用いた直接ELISA法によりスクリーニングした結果、4個の陽性クローンを得ることに成功した。クローンDNAに対してBstNIフィンガープリンティングを行った結果、これらが同一であることが明らかとなった。得られたクローンより産生されるリコンビナントFabの反応特異性について検討した結果、APU-6とほぼ同様であったことから、クローニングした遺伝子がAPU-6由来であることが明らかとなった。次に、H鎖およびL鎖可変部の塩基配列をジデオキシ法により決定した。これより推定されるアミノ酸配列から、Kabatらの方法に基づき、H鎖およびL鎖のFRおよびCDR部分を決定した。以上の結果に基づき、H鎖CDR部分(CDR1, CDR2, CDR3)を第一ターゲットとして、機能性ペプチド分子のデザインおよび作製を行った。得られた機能性ペプチドの反応性については、現在阻害ELISA法を用いて詳細に検討中である。