ABSTRACT 1979(P8-5)
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消化器癌のprogressionと細胞表面膜上Fas ligand (CD95L)発現の意義:小山捷平1, 丸山常彦2, 足立信也(筑波大・医・1内科, 2外科)

Cell surface expression of Fas ligand (CD95L) during the progression of gastric carcinomas: Shohei KOYAMA1, TsunehikoMARUYAMA 2, Shinya ADACHI 2(Depts of 1 Int. Med. & 2Surgery., Inst. Clin. Med., Univ. of Tsukuba)

【目的】消化器癌細胞上に於けるCD95Lの発現が癌の浸潤転移にいかなる免疫生物学的意味を持つかにつき検討した。
【対象・方法】これまで癌原発巣(T)(胃癌10例), 転移巣(M)(癌性胸・腹水16例), 対照として正常胃粘膜(N)12例, 及び癌細胞株20数種を対象にTwo-color flowcytometry (CD95/ CD95Lの組合せ)にて癌細胞及び癌浸潤リンパ球(TIL)の抗原分子を定量的に検索した。
【結果】癌細胞株ではその細胞膜面上には殆どCD95/CD95L分子共に発現していなかったが例外的に3種(胃癌株1例、食道癌株2例)にCD95L分子の発現が認められた。一方、N,T,Mにおける検索ではCD95は殆どが陰性であったがCD95Lは全例陽性でその平均陽性細胞比率はN:50.4±4.4% (Mean±SE), T:43.0±3.3%を示したがMでは65.7±4.3%と有意に増加した。TILに於けるCD95, CD95Lの検索ではN,T共に極めて低値であったが、Mでは各々30数%の高い陽性細胞比率を示した。又CD95L+ 癌細胞株とCD95+ T細胞株(Jurkat & Molt-3)との混合培養は対照(CD95L-癌細胞株との混合培養)に比して有意にCD95 T細胞株の増殖低下が認められた。
【結語】CD95LはN,T,Mの細胞膜上にconstitutivelyに発現しており、特にMに高い陽性細胞比率が認められた。この事は癌細胞上のCD95Lは活性化TIL(CD95)をcounterattackしtumor immune evasionに有利に働き、また正常胃粘膜上のCD95Lはinflammationを最低限に抑制する働きをしているものと思われた(immune privilaged)。