ABSTRACT 1980(P8-5)
glioma 細胞のFas、TNF-R1下流における細胞死、細胞増殖制御:篠原 久明1、吉田 功2、八木田 秀雄3、 井川 洋二1、小柳津 直樹1(1東京医歯大・医研・感染分子制御、2東京医歯大・難治研・免疫疾患、3順天堂大・医・免疫)
Cell death and growth control downstream of Fas/TNFR1 in glioma cells: Hisaaki SHINOHARA1, Tsutomu YOSHIDA2, Hideo YAGITA3, Yoji IKAWA1, Naoki OYAIZU1 (1Dept.of Retroviral Regulation, Medical Res. Div., 2Dept.of Immunology, Medical Res. Inst., Tokyo Med. and Dent. Univ., 3Dept.of Immunology, Juntendo Univ. Sch. Med. )
近年glioma 細胞はFas抗原を発現し、抗Fas抗体処理による細胞死感受性を示す一方、TNF?を自己増殖因子として利用している事が明らかにされている。しかし細胞死と細胞増殖といった相反する生物学的反応の分岐機構は明らかにされていない。そこで我々は、full lengthのFas分子(F/F)とキメラ分子(細胞外がFas 、細胞内がTNF-R1:F/T)の遺伝子を強制発現させたglioma細胞株を樹立し、抗Fas抗体処理による効果を解析した。 親細胞株およびF/F、F/T発現細胞株とも、抗Fas抗体処理による細胞死感受性を示し、AmidoBlack法で定量したその感受性はF/F、 F/T、親細胞株の順であった。また、誘導された細胞死はcaspase阻害剤で阻止され、ミトコンドリア膜電位低下およびDNAの分断化を伴うことを観察した。 しかしながら、抗Fas抗体処理後明らかに細胞死を呈しながらもglioma細胞は増殖を続け、処理後72時間においてもその生細胞実数は増加していた。更にglioma細胞は細胞密度依存的に増加する事、及び内因性にFasLを発現している事を同定した。以上、glioma細胞ではFas-FasL相関が細胞死のみならず、TNFαと同様、細胞増殖性に作用する可能性を報告する。