ABSTRACT 1982(P8-5)
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頭蓋内神経鞘腫におけるAntoni B type 形成機序についての検討 :都築俊英1,小西 登2,中村光利1,乾多久夫2,角田 茂3,日浅義雄2(奈良医大・1脳外,22病理,3大阪府立大・総合科学)

Studies of the Antoni B type formation in intracranial schwannomas:Toshihide TSUZUKI1, Noboru KONISHI2,Mitsutoshi NAKAMURA1,Takuo INUI 2,Shigeru TSUNODA3,Yoshio HIASA2 (1Dept. Neurosurg.,22nd Dept.Pathol. Nara Med.Univ.,3Integrated Science Osaka Pref.Univ.)

【目的】我々はschwannoma においてapoptotic cell が存在し、cyst 形成や自然縮小にapoptosis が関係している可能性について報告してきた。今回さらにそのような組織変化の前段階とも考えられるAntoni Bの組織形成に関係する因子を検索し、その機序について検討したので報告する。
【対象と方法】手術時に採取した30例のホルマリン固定・パラフィン包埋標本を用い、Apoptag によるapoptotic cell の検索を行った。また、apoptosis に関係するCPP32の発現も免疫組織学的に検索した。さらにマクロファージを認識するKP-1モノクロナール抗体を用いてマクロファージの浸潤状態を調べた。
【結果】apoptotic cell の検索では30例中23例に陽性細胞が検出され、特にAntoni B type の組織内およびAntoni A typeとの移行部に多い傾向が認められた。同様の部位にCPP32の発現も認められた。KP-1染色では全例に陽性細胞が認められ、やはりAntoni B type の組織近傍に集中していた。
【結論】schwannnoma においてはapoptosis が部分的に生じ、Antoni B type形成の一因になっているのではないかと考えられた。また、マクロファージが同様にAntoni B type 組織に集積していることから、apoptotic cell の処理にマクロファージが関与しているとともに、マクロファージから放出されるTNF-αなどがapoptosis を誘導し、さらにAntoni B type 組織形成を推進している可能性も推測された。