ABSTRACT 1986(P8-6)
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担癌患者の末梢血において増加するCD56陽性T細胞とその患者の予後:瀧井康公1、安保徹2、岡田貴幸1、飯合恒夫1、畠山勝義1(新潟大・1一外、2医動)

CD56 positive T cells and prognosis in the patients with colorectal cancer.: Yasumasa TAKII1, Toru ABO2, Takayuki OKADA1, Tsuneo IIAI1 and Katsuyoshi HATAKEYAMA1 (11st Dept. Surg., 2Dept. Imunol., Niigata Univ. Sch. Med.)

〔背景・目的〕第52、55回の本学会に於いて我々は、CD56陽性T細胞が人における肝臓で分化する胸腺外分化T細胞である可能性と、この細胞の割合が、担癌患者の末梢血中において、正常人に比し有為に高値を示し、癌の進行と供に上昇、末期には低下し、また、その患者の予後に影響のあることを報告した。今回、これらの担癌患者を根治手術の有無、Dukes stage 別に分割し、CD56陽性T細胞の割合の増加と予後の関係を検討した。〔対象・方法〕新潟大学第一外科において、1992年7月〜1997年7月までに手術が施行された大腸癌患者中の100例を対象とした。年齢は24〜84(平均61.2)歳、男60例、女40例、術前にヘパリン採血した末梢血のリンパ球を濃度勾配法で分離後、CD3、CD56抗体を用い、CD56陽性CD3陽性(CD56陽性T)細胞のCD3陽性細胞中の割合を、FACScan にて解析した。また、累積生存率の解析は、Kaplan-Meier法にて、生存率の差の検定はLogrank法にて行った。〔結果〕CD56陽性T細胞のCD3陽性細胞中の割合で2群に分け、H群は8%以上、L群は8%未満とした。累積5年生存率は、根治手術例全体では82例中、H群(25例) 68.8%、L群(57例) 58.1%、で有意差を認めなかった。Dukes A は2群とも100.0%、Dukes B はH群100.0%、L群60.6%、で、L群の再発死した症例は主に肝転移の症例であった。Dukes C と D ではH群が生存率が低い傾向にあったが有意差を認めなかった。非根治手術では2群とも5年生存はなく、生存率曲線に差は認められなかった。〔結語〕CD56陽性T細胞の割合は進行癌患者、特にDukes B の患者の予後に強い関連性が認められた。