ABSTRACT 2036(P9-3)
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TGF-β1によるNF-κB活性の抑制 におけるSmad4の役割:茂木勝美、東 雅之、青田桂子、佐藤光信(徳島大・歯・2口外)

Role of Smad4 in the suppression of NF-κB activity by TGF-β1 : Katsumi MOTEGI, Masayuki AZUMA, Keiko AOTA, Mitsunobu SATO (2nd Dept. of Oral and Maxillofacial Surg., Tokushima Univ. School of Dentistry)

[目的]昨年の本学会において我々はヒト唾液腺細胞株を用いて、TGF-β1がこれらの細胞のNF-κB活性を抑制することを報告した。そこで今回はTGF-β1による IκB-αの転写レベルでの調節とTGF-βの細胞内シグナル伝達経路において重要な役割を持つSmad4の役割につき解析した。[方法]ヒト唾液腺細胞株( NS-SV-AC)を 5ng/mlのTGF-β1にて経時的に処理した後、 RT-PCRにて IκB-αとSmad4のmRNA発現レベルを、またActinomycin D (Act. D)処理による IκB-α mRNA発現への影響を検索した。更にNS-SV-ACを Smad4 に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド (Smad4 AS)にて前処理した後、TGF-β1処理した際の細胞質内IκB-α蛋白とp65蛋白の発現を Western blotにて解析した。[結果] NS-SV-ACにおいては IκB-α mRNAの発現増強がTGF-β1処理30分後から認められ、検索した180分後まで持続した。また IκB-α mRNAの発現増強はAct. Dにて処理する事により抑制された。Smad4 mRNAの発現はTGF-β1処理30分後に抑制されたが、以後直ちに回復した。TGF-β1処理によりIκB-α蛋白の発現増強が認められたが、Smad4 ASにて前処理することによりこの発現増強は抑制された。また核内p65はTGF-β1処理により発現の抑制がみられたが、Smad4 ASにて前処理することにより抑制が回復した。[結論]ヒト唾液腺細胞においてTGF-β1による NF-κB活性の抑制は IκB-α mRNAの転写促進により誘導されることが明らかとなり、そのシグナル伝達経路においてSmad4が mediatorとして作用している可能性が示唆された。