ABSTRACT 2037(P9-3)
Exon3の欠失したSmad2と野生株Smad2、Smad3との比較:八木健1,竹之下誠一2,加藤光保1,宮園浩平1(1癌研究会癌研究所・生化学部,2群馬大学・第一外科)
Alternatively-Spliced Variant of Smad2 Lacking Exon3; Comparison with the Wild-type Smad2 and Smad3 : Ken YAGI1,Seiichi TAKENOSHITA2,Mitsuyasu KATO1,Kohei MIYAZONO1, (1Dept. of Biochemistry.,The Cancer Institute.,2Dept. of 1st Surg.,Gunma Univ.)
Smad2とSmad3はTGF-βレセプターによりリン酸化され、Smad4と結合し、核に移行する。そして標的遺伝子に直接もしくは間接的に結合して、その転写を調節する。Smad2とSmad3のアミノ酸配列は90%以上の相同性を持つが、Smad2には、Smad3にはない30アミノ酸からなる領域が存在する。この領域はexon3によりコードされるが、Smad2にはexon3が欠失したalternative spliced variantが存在することが確認された。p3TP-lux reporter を用いてその転写活性を調べたところ、variant Smad2はwild type Smad2よりも活性が増強し、Smad3に似た活性を示した。TGF-βレセプターによるリン酸化とSmad4との結合では3者の間で差はみられなかったが、p3TP-lux reporter 内のAP-1 siteを含む転写調節領域をプローブとしたゲルシフトアッセイで、variant Smad2はwild type Smad2にはない、Smad3結合部位への結合能を獲得していた。以上より、Smad2に特徴的な30アミノ酸がSmad2とSmad3の標的特異性の少なくとも一部を規定していると考えられた。