ABSTRACT 2039(P9-3)
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insulin receptor substrate-1 (IRS-1)のFGF-2刺激による局在変化:正野武文、斉藤 泰、神田 滋(長崎大・医・泌)

Dissociation of insulin receptor substrate-1 from focal adhesion complex in FGF-2-treated murine brain capillary endothelial cells: Takefumi SHONO, Yutaka SAITO, Shigeru KANDA (Dept. of Urol. Nagasaki Univ. Sch. Med.)

FGF receptor-1のシグナル伝達経路は、phospholipase-C gamma (PLC-g)やrasを介したMAPKの活性化、あるいはp70s6kの活性化などのほかにはあまり知られていない。FGF receptor-1はfocal adhesion complex (FAC)に局在することが報告されているが、その役割は十分検討されていない。マウス脳血管内皮細胞由来のIBE細胞は、fibronectinでコーティングしたプラスティック上で、時間とともに接着、伸展し、同時にfocal adhesion kinase (FAK)のチロシンリン酸化が増加する。一方IRS-1の、 界面活性剤を含んだ溶解バッファーへの回収率は細胞の伸展とともに低下した。vinculin とIRS-1の2重染色による細胞内局在を調べると、IRS-1はvinculinと共存しており、IRS-1はFACに取り込まれていくことがわかった。fibronectinの上で伸展したIBE細胞をFGF-2で刺激すると、IRS-1のチロシンリン酸化は変化しなかったものの、溶解バッファーへの回収率は増加した。2重染色ではFACに存在していたIRS-1が認められなくなり、細胞質へ移動したことが示唆された。MEK inhibitorである PD98059でIBE細胞を処理すると、FGF-2によるIRS-1の回収率の増加が抑制された。IRS-1はMAPKによってセリンリン酸化され、その機能が変化することが報告されている。FGF-2によるIRS-1の分布の変化の生物学的意義について、現在検討中である。