ABSTRACT 2045(P9-3)
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酸化ストレス応答性チロシンキナーゼ(Oxidant Stress-activated Tyrosine Kinase: OSK)の性状解析:蒲生 忍1,2,大坪正史1,清水信義11慶應大・医・分子生物,2杏林大・保健・生物)

Characterization of Oxidant stress-activated tyrosine kinase which phosphorylates EGF receptor : Shinobu GAMOU1,2, Masafumi OHTSUBO1 and Nobuyoshi SHIMIZU1 (1Dept. Mol. Biol., Keio Univ. Sch. Med., 2Dept. Biol. Kyorin Univ. Sch. Health Sci.)

[目的]我々は先に過酸化水素により活性化されEGFレセプターをチロシンリン酸化する新しいキナーゼOxidant Stress-activated tyrosine Kinase(OSK)の存在を明らかにした。さらに、OSKをイオン交換カラムで分画し、約80KDaのsrcと相同性を持つキナーゼであることを示した。今回、OSKの性状をさらに解析した。[方法]免疫沈澱により精製したキナーゼ活性欠損変異型EGFレセプター(721Mレセプター)を基質として、活性化部分精製OSKを用いたin vitroリン酸化反応を行った。基質を電気泳動後、PVDF膜に転写し、抗ホスホチロシン抗体を用いてリン酸化の有無を検討した。[結果]721Mレセプターをsrcキナーゼの活性化には必須のMgCl2存在下に部分精製OSKとインキュベートしたところ、721Mレセプターのリン酸化は観察されなかった。一方、レセプター型チロシンキナーゼの活性化に必須のMnCl2存在下においては721Mレセプターのリン酸化が観察された。srcキナーゼを阻害することが知られているHerbimycinやGenistein存在下ではOSKのEGFレセプターリン酸化活性が阻害されなかった。EGFレセプターキナーゼやc-erbB-2キナーゼを阻害することが知られているTyrphostin 42でも阻害は観察されなかった。しかし、Tyrphostin 25、44および56存在下では活性が阻害された。これらの結果から、OSKがsrcと相同領域をもちながら、srcとは異なる二価イオン要求性やキナーゼ阻害特性をもつ特異なチロシンキナーゼであることが示された。