ABSTRACT 2047(P9-3)
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赤血球系細胞の増殖、分化におけるRASシグナルの役割:松崎朋子1,2、相崎健一、山村康子、野田亮、井川洋二東京医歯大・医・感染分子制御、科学技術振興事業団、3京大・医・分子腫瘍)

Role of RAS pathway for proliferation and differentiation of erythroid cells:Tomoko Matsuzaki1,2,Ken-ichi Aisaki,Yasuko Yamamura1,Makoto Noda3,Yoji Ikawa (Dept. of Retrovirus Regulation, Tokyo Med. And Dent. Univ.,Med. Res. Div. 2CREST. Japan Science and Technology Corporation 3Dept. of Molecular Oncology, Kyoto Univ.)

〔目的〕赤血球系細胞の増殖、分化にはエリスロポイエチン(EPO)刺激が深く関わっているとされるが、EPO受容体を介する数々のシグナル伝達の直接的な役割分担については未だはっきりとした結論はでていない。我々はそのうちの一つであるRAS pathwayの働きに対する解析を試みた。〔方法〕EPO添加により赤血球系へ分化するフレンド白血病細胞系SKT-6に、tet発現システムを用いてRASのアクティブ(G12V)型、ドミナントネガティブ(S17N)型遺伝子を導入しEPOの有無における細胞の増殖と、分化を観察した。〔結果〕RAS(S17N)を発現することによりEPO刺激なしに赤血球方向への分化傾向が示され、細胞死が誘導された。また、RAS(G12V)の発現ではEPOによる分化誘導は抑制された。SKT-6細胞ではRASがその増殖の一端を担っていることと、分化においてはRAS pathwayの抑制の必要性が示唆された。この時のJAK-STAT pathwayの挙動についても討論したい。