ABSTRACT 2049(P9-4)
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マウス骨肉腫由来細胞株(Dunn)に対するグルココルチコイドの作用:山本章史1, 上田孝文2,久田原郁夫2,谷垣由美子1,吉川秀樹2,西澤恭子1(大阪成人セ・研・1病理,病・2整形)

Growth inhibitory activity of glucocorticoid on mouse osteosarcoma derived cell line(Dunn):Takashi YAMAMOTO1, Takafumi UEDA2,Ikuo KUDAWARA2,Yumiko TANIGAKI1,Hideki YOSHIKAWA2,Yasuko NISHIZAWA1 (1Dep.Pathol.,2Orthop.Surg.,Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases.)

【目的】ステロイドホルモンの典型的な標的組織である乳腺・前立腺由来の腫瘍は、その発生・増殖進展の全過程ないし初期にステロイドホルモンが関与しており(それぞれエストロゲン・アンドロゲン)、治療法の1つとして内分泌療法が存在する。更に、グルココルチコイド(G)が血液・リンパ系の腫瘍細胞の増殖に影響を及ぼすことは、よく知られている。しかし、固形腫瘍特に骨肉腫の増殖に対するGの作用については、未だ明らかではない。そこでマウス骨肉腫由来の細胞株(Dunn)を用い、Gの増殖に対する影響を検討した。
【結果と考察】Dunnの培養液(Ham f12:MEM(1:1)0.1%BSA)に、Gの1つであるデキサメサゾン(Dx)を添加し5日間培養したところ、細胞増殖は濃度依存性に抑制され、RU486共存で一部回復した。このDxによる増殖抑制は、in vivoでも観察された。DunnにはKd 5.2±0.8nMのG結合部位が存在し、標識Dxの結合は、DxやRU486、高濃度のプロゲステロンにより抑制されたが、アンドロゲンやエストロゲンでは殆ど抑制されなかった。抗Gレセプター抗体を用いたウエスタンブロットでは、90〜95kDにバンドを観察した。以上の結果は、骨肉腫の中には、Gにより増殖が抑制されるものが存在し、Gレセプターを介してその作用が発現している可能性を示唆する。