ABSTRACT 2050(P9-4)
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結腸癌26移植マウスにおけるリポ蛋白質代謝酵素の変動-メドロキシプロゲステロンおよびタモキシフェンの効果−:金川麻子,森田哲生(福山大・薬・2生化)

Changes in Activities of Lipoprotein Metabolic Enzymes in Mice Bearing Colon 26 Adenocarcinoma-Effects of Medroxyprogesterone and Tamoxifen-:Asako KANAGAWA, Tetsuo MORITA(2nd Dept.Biochem.Fac.Pharm., Sci., Fukuyama Univ.)

癌の進行に伴い、担癌体には羸痩などの悪液質が生じる。本研究室では悪液質発現に、脂質代謝酵素のリポ蛋白質リパ−ゼ(LPL)や肝性リパーゼ(HTGL)の大きな寄与と指標としての有用性を示唆してきた。最近、担癌患者の悪液質発現によるQOL(Quality of Life)の低下に対する内分泌療法剤の効果が議論されている。そこで今回、黄体ホルモン剤メドロキシプロゲステロン(MPA)および抗エストロゲン剤タモキシフェン(TAM)の抗悪液質作用について両酵素に着目しつつ検討を行った。CDF1雌性マウス(8週齢)を各群6匹ずつ4群に分け、1群を健常群と他の3群に結腸癌26を移植した。担癌群の内2群に担癌翌日から、腫瘍量の変化がほぼ同程度となるMPA 5 mg/Kg及びTAM0.2 mg/Kgをそれぞれ連日経口投与した。癌移植36日目に健常群と伴に血液および各組織を採取し、LPL・HTGL活性を測定した。担癌化による体重減少及び自発運動量の低下は両薬剤によって遅延・抑制が生じ、MPA によってより改善された。この時、腫瘍におけるLPL活性はTAMによってやや増加傾向を示し、HTGL活性はMPAによって、より抑制された。また、血清LPLとHTGLおよび脂肪組織LPLの活性低下は、両薬剤ともほぼ同程度のに、また、肝HTGLの活性減少は、よりMPAによって健常化された。すなわち、癌悪液質発現に対しMPA とTAMはそれぞれ特徴のある効果を示し、リポ蛋白質代謝の異常において、MPAによる、より健常化傾向が示唆された。(癌の臨床 金川・森田、43 (7) 713, '97 ; 44 (2) 269.'98. )