ABSTRACT 2051(P9-4)
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新規抗プロゲステロン剤MS-317の作用機序研究:野坂康人1,鈴木章生1,斎藤倫1,大岡久芳1,蔵本悦郎1,戸井雅和2,冨永健2,31三井製薬・生科研,2都立駒込病院・外科,3,昭和大・豊洲病院乳癌センター)

Mechanism of a new progesterone antagonist MS-317 on the anti-proliferative effect on human breast cancer cell lines: Yasuhito NOSAKA1, Hitoshi SAITO1, Akio SUZUKI1, Hisayoshi OOKA1, Etsuro KURAMOTO1, Masakazu TOI2, Takeshi TOMINAGA2,3 (1Mitsui Pharma. Inc., 2Dept. Surg., Tokyo Metro. Komagome Hosp., 3,Showa Univ. Toyosu Hosp.)

【目的】抗プロゲステロン剤であるMS-317 ( ( 6β,11β,17β) -11 ( 4-dimethylaminophenyl) -6-methy-4'-5'-dihydrospiro [estra-4, 9-dien-17, 2' (3'H) furan]-3-one ) は、エストロゲン依存性ヒト乳癌細胞株T-47Dの増殖を抑制すると共にDMBA誘発ラット乳癌モデルにおいて抗腫瘍作用を示した。今回、我々はその作用機序について細胞生物学的及び分子生物学的手法を用いてin vitroで検討した。【方法】T-47Dに対しては単層培養系を用い、主にE2の存在下での細胞周期等に対するMS-317の作用を評価した。一方、MCF-7に対してはスフェロイド系を用い、MS-317の増殖因子に対する作用を評価した。【結果】MS-317はT-47Dの増殖を抑制すると共にE2依存的に誘導されるpS2の発現を抑制した。また、MS-317は細胞周期をG0/G1期に蓄積した。さらに、MS-317はp21の発現を誘導したが、この時p53を誘導しなかった。一方、 MCF-7スフェロイドの増殖はE2非添加条件下でIGFsにより亢進したが、MS-317はその増殖を抑制した。【結論】MS-317の抗腫瘍作用の機序として、エストロゲン依存性増殖においてその作用を抑制する他に、エストロゲンを介さないIGFs依存的な増殖を直接抑制する可能性が示唆された。