ABSTRACT 2052(P9-4)
ヒト子宮内膜における17β-hydroxysteroid dehydrogenase isozymes の発現:宇都宮裕貴1, 笹野公伸2, 鈴木貴2, 今野良1, 佐藤信二1, 名倉宏2, 矢嶋聰1(1東北大・医・産婦, 2病理)
Expression of 17β-hydroxysteroid dehydrogenase isozymes in human endometrium and its disorders : Hiroki UTSUNOMIYA1, Hironobu SASANO2, Takashi SUZUKI2,Ryo KONNO1, Shinji SATO1, Hiroshi NAGURA2, Akira YAJIMA1 (Dept. of 1Obstetrics-Gynecology and 2Pathology, Tohoku Univ. Sch. of Med.)
[目的、方法]17β-hydroxysteroid dehydrogenase(17β-HSD)は、type 1がエストロゲン(E)を活性化、type 2 は E を不活化する作用を各々有しており、局所での E 活性を直接的に調整する重要な酵素である。しかしヒト子宮内膜における17β-HSD についての検索はほとんどなされていない。そこで今回我々は正常子宮内膜20例、子宮内膜増殖症36例{simple (S) 18例、complex (C) 11例、atypical (A) 7例}、子宮類内膜腺癌35例を用いて、17β-HSD type 1,2 と共に estrogen recepter (ER)、progesterone recepter (PR)、aromatase (arom) に対する免疫染色を行い、子宮内膜における E の局所調節機構について検討した。[結果]17β-HSD type 2 は正常内膜の分泌期腺管で発現しており、内膜増殖症で S:72%、C:91%、A:43%、子宮類内膜腺癌で37%に認められたが、type 1はいずれでも陰性であった。ER、PRは正常子宮内膜では増殖期を中心に広く陽性であり、増殖期では全例、癌では ER、PRそれぞれ71%、62%が陽性であった。aromは正常内膜および増殖症では陰性であったが、癌では69%が陽性であった。[結論]子宮内膜およびその増殖病変においては17β-HSD type 2 の発現により E を局所で不活性化することにより E の作用を制御していることが考えられた。