ABSTRACT 2053(P9-4)
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合成ステロイド剤ジエノゲストのヒト乳癌由来株細胞に対する細胞増殖抑制効果ならびに抗腫瘍効果:清水豊1, 甲木由紀夫1, 笹川慎一1, 望月英典1, 山口建21持田製薬・富士中央研, 2国立がんセ・研・細胞増殖因子)

In vivo and in vitro anti-proliferative effect of dienogest, a synthetic steroid, on human breast cancer cell lines: Yutaka SHIMIZU1, Yukio KATSUKI1, Shinichi SASAGAWA1, Hidenori MOCHIZUKI1, Ken YAMAGUCHI2 (1Fuji Central Res. Lab., Mochida Pharm. Co., Ltd., 2Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】Dienogest (17α-cyanomethyl-17β-hydroxyestra-4,9-dien-3-one)は、progesterone様作用を主に有するステロイド剤であり、現在、子宮内膜症治療剤として臨床試験中である。本剤はまた、マウスに移植したestrogen依存性ヒト子宮体癌および乳癌細胞(MCF-7)に対し抗腫瘍効果を示す(Katsuki et al., Cancer 1997; 79: 169-76)。今回、我々は各種ヒト乳癌由来株細胞の増殖に対するdienogestの作用をtamoxifenと比較検討した。【方法】In vitroでの細胞増殖抑制効果を、二重軟寒天培養系を用いたコロニー形成能により評価した。また、in vivoでの抗腫瘍効果を、nudeマウスおよびSCIDマウスに細胞を移植し腫瘍体積を指標に検討した。【結果】Dienogestは、estrogen依存性であるMCF-7細胞増殖をtamoxifenより強く抑制した(IC50: Dienogest 0.55nM、Tamoxifen 790nM)。また、マウスにおけるMCF-7腫瘍増殖をtamoxifenより強く抑制するのみならず、estrogen依存性tamoxifen耐性株であるR-27およびestrogen非依存性株であるMDA-MB231による腫瘍増殖をも0.1mg/kg/day以上の経口投与量にて有意に抑制した。【結論】Dienogestが乳癌に対する新たなホルモン療法剤となる可能性が示唆された。