ABSTRACT 2055(P9-4)
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1998年 6月 11日 木曜日ヒト乳癌におけるエストロゲン受容体α及びβ発現のmRNA in situ hybridization法を用いた検討 : 笹野公伸1,鈴木貴1,名倉宏1,遠藤希之2,木村道夫31,東北大・医・病理,2東北大・加齢研・病理,3東北公済病院外科)

Analysis of estrogen receptor αand βin human breast carcinoma using mRNA in situ hybridization: Hironobu SASANO1, Takashi SUZUKI1, Hiroshi NAGURA1, Mareyuki ENDOH2, Michio KIMURA3 ( Dept.of Pathol. 1Tohoku Univ. Schr. Med. and 2Inst. Dev. Aging, Cancer, Tohoku Univ., 3Dept. of Surg. Tohoku Kousai Hosp. )

[目的―方法]近年新しいエストロゲン受容体(ER)として従来のERαに加えてERβの存在が明らかになってきており、そのエストロゲン作用における役割が大きな注目を集めてきている。しかしヒト乳癌を含めた性ステロイド依存性腫瘍においてはERβの発現動態は十分には検索されてはいない。 そこで今回我々はヒト乳癌25例において30merのオリゴヌルレオチドをBrigatti標識したものをprobeとして用いたmRNA in situ hybridization法でERα, βのmRNA発現及びその局在を検討した。 [結果]検索したヒト乳癌25例中ERαは18例で、ERβは11例でその発現が腫瘍細胞に認められた。しかし25%以上の腫瘍細胞が発現していた症例はERαが13例であったのに対して、ERβは2例にすぎなかった。またERα(+) ERβ(-)の症例は7例であったのに対してERα(-) ERβ(+)の症例は一例にすぎなかった。 [結論]以上の結果よりヒト乳癌においてERαとERβの発現動態は必ずしも相関してはおらず、ERβを介するエストロゲン作用はERαを介する作用に比べて多くはないことが考えられた。