ABSTRACT 2057(P9-4)
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血中エストロゲンレセプター(ER)自己抗体の臨床応用を目的とした癌と非癌組織のER動態の検討:山口研成,清野祐子,神田裕三,中西京子,江口英孝, 林慎一,石井勝(埼玉がんセ・病院・臨検,消内,埼玉がんセ・研)

Estrogen receptor (ER) status in the malignant and non-malignant tissues for clinical use of circulating autoantibody to ER. Kensei YAMAGUCHI1, Yuko SEINO1, Yuzoh KANDA1, Kyoko NAKANISHI2, Hidetaka EGUCHI2, Shin-ichi HAYASHI2, Masaru ISHII3( 1Dept. of Lab. Med., 3Div. of Gastroenterol.,2Research Inst.,Saitama Cancer Center)

【目的】我々はER自己抗体の腫瘍マーカーとしての検討を重ねてきた。今回は、より癌特異性の高い抗原性について抗原認識の異なる数種のER抗体を用い免疫組織学的に検討を行った。
【方法】ER のAB,D,Fドメインを認識する抗体を作製し、乳腺、肝、前立腺の癌部、非癌部の免疫組織染色を行った。その染色性の相違から癌特異性の高い自己抗体の推定と各組織におけるERのステータスの差異を検討した。
【成績・考察】ホルモン依存性の乳腺、前立腺は核内が染色されたが、肝においては細胞質にER染色性が高い傾向が見られた。これはエストロゲン非存在化でERを強制発現させた肝培養細胞系では再現できず、ERの動態にはリガンドだけではない何らかの因子が関与していることが示唆された。また、癌特異性の高い部位はFドメインであり、自己抗体の測定系にはこの部位を用いる方が臨床的有用性が高いと予測された。今後、肝におけるERの動態メカニズムを検討し、より癌特異性の高い自己抗体の測定系を確立する予定である。