ABSTRACT 2060(P9-4)
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子宮内膜癌細胞株におけるEGF及びエストロゲンの作用:坂本隆子1、加藤聖子2、村瀬隆之1、森宏之1、和氣徳夫21帝京大・医・産婦、2九大・生医研・産婦)

Effects of epidermal growth factor and estrogen on endometrial cancer cell lines: takako SAKAMOTO1, Kiyoko KATO2, Takayuki MURASE1, Hiroyuki MORI1, Norio WAKE2 (1Dept. Obstet.Gynec.,Teikyo Univ.Sch.Med., 2Dept. Obstet.Gynec.,Med.Inst.bioreg.,Kyushu Univ.)

[目的]乳癌、子宮内膜癌の増殖にはEGFやエストロゲン(E2)が関与すると考えられるが、詳細は不明である。このためこれら増殖因子による乳癌、子宮内膜癌細胞増殖特性への影響について検討した。[方法]1)子宮内膜癌細胞株(IK,HHUA,HOUA-1,SNGM)およびMCF-7乳癌細胞株を用い、Northern blot法またはRT-PCR法によりER,EGFRの発現を検討した。2)E2及びEGF刺激時のコロニー形成能を軟寒天培養法にて検討した。3)E2及びEGF刺激時のER転写活性をluciferase assay法により検討した。[結果]1)ERの高発現をMCF-7で認めた。IKでは中等度の発現を認めた。他の子宮内膜癌細胞ではER発現は極端に減弱しているか或いは全く認められなかった。MCF-7及びIKではエクソン5及び7を欠失したERスプライシングvariant(Δ5,Δ7)の発現が観察された。SNGMではΔ7の発現を認めた。2)EGFRは全ての子宮内膜癌細胞株でその発現を認めたが、MCF-7では消失していた。3)各リレプター発現に一致し、E2刺激によりMCF-7のコロニー形成能は亢進した。IKではE2及びEGF刺激の両方でコロニー形成能が刺激された。しかし他の子宮内膜癌細胞におけるコロニー形成能の亢進はEGF刺激の場合にのみ観察された。4)EREを介するER転写活性の亢進は、E2刺激MCF-7細胞でのみ観察された。[結論]ホルモン依存性腫瘍に属する乳癌及び子宮内膜癌細胞は、それぞれ異なる細胞増殖シグナルにより制御されていることが示唆された。乳癌細胞ではER転写活性の亢進を誘導するE2が、子宮内膜癌細胞ではEGFRを介するEGFが主たる増殖因子として想定された。