ABSTRACT 2062(P9-4)
ヒト乳癌細胞MCF-7が、長期間低エストロゲン環境下での培養中に獲得する増殖変化の機序:正村滋, 吉野肇一(東京歯大市川総合病院・外)
Mechanisms of enhanced growth of human breast cancer cells (MCF-7) in long-term estrogen deprived condition: Shigeru MASAMURA, Keiichi YOSHINO (Dep. of Surg., Tokyo Dental College, Ichikawa General Hospital)
[目的] 乳癌におけるablation療法failureの機序を明らかにするために、MCF-7を用いた細胞培養での実験モデルを確立した。
[方法と結果] MCF-7を長期間低エストロゲン環境で培養すると、次第にその環境に適応し、増殖が促進されるようになるが、これはpure antiestrogenで抑制可能であることが認められた。ERE-CATをtransfectしてみると、エストロゲン無添加の培地においてもCAT活性が高く、pure antiestrogenで抑制された。増殖変化をきたしたこの細胞は、もとの親株細胞に比べpS2, c-mycなどE2-inducible genesの発現パターンが異なっていたが、PgRの発現パターンには大きな変化がなかった。
[結論] この増殖促進にともなうレセプター、E2-inducible genesの随伴変化からこの現象の機序につき、エストロゲンに対するhypersensitivity, ホルモン非依存性の両方の観点から検討を加える。