ABSTRACT 2063(P9-4)
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乳癌の発生・進展におけるアポトーシス誘導因子Bakの発現と機能:江口英孝,中西京子,松島芳文,中地 敬,林 慎一(埼玉がんセ・研)

Roles of apoptosis-inducer Bak in development of breast cancer: Hidetaka EGUCHI, Kyoko NAKANISHI, Yoshibumi MATSUSHIMA, Kei NAKACHI, Shin-ichi HAYASHI (Saitama Cancer Ctr. Res. Inst.)

Bcl-2ファミリー遺伝子産物は、細胞死を正または負に制御する因子であり、多くの癌の発生・進展において重要な役割を担っている。我々は昨年、本大会において、同ファミリーの一つであるBak mRNAの発現が、ヒト正常乳腺に比して乳癌組織では減少していることを報告した。さらに、エストロゲンレセプター陽性乳癌細胞株MCF-7を用いて、Bakの発現がエストロゲンにより負の制御を受けること、Bakの一過的発現はMCF-7細胞にアポトーシスを誘導することを見い出した。今回、乳癌の発生・進展にBakがどのように関わっているのかを詳細に検討するために、安定形質転換株を作製した。MCF-7細胞にBakの発現ベクターを導入し、G418存在下で3週間培養し、クローンを単離した。これを様々な濃度のエストロゲン存在下、軟寒天培地で3週間培養を行った後、コロニー数を計測した。Bakを安定に発現するクローンは、コントロールの細胞に比して、コロニーの形成数が減少した。これらのことから、発癌過程においてBakの発現量が低下することにより、腫瘍の増殖が進むものと考えられた。また、正常乳腺におけるBakの役割を明らかにするために、C57BL/6マウスの妊娠期、授乳期、退縮期の乳腺よりRNAを調整し、その発現について検討したので、これも併せて報告する。