ABSTRACT 2065(P9-4)
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樹立ヒト顆粒膜細胞癌細胞株 (KGN) のステロイド産生能及びFas依存性アポトーシスに関する検討:西 芳寛1,2、柳瀬敏彦2、井口東郎3、名和田新21:社保稲築病院内科、2:九大・医・3内科、3:九州がんセ・臨研)

Analysis of Steroidogenesis and Fas-mediated Apoptosis in Newly Established Human Ovarian Granulosa Cell Tumor Cell Line (KGN) :Yoshihiro NISHI 1,2, Toshihiko YANASE 2, Haruo IGUCHI 3, Hajime NAWATA 2 (1Dept. of Int. Med, Inatuki-Hosp., 23rd Dept.of Int. Med. Facult. Med. Kyusyu Univ., 3Dept. of Biochem., Natl. Kyusyu Cancer Center)

【緒言】ヒト顆粒膜細胞癌組織よりステロイド産生性培養細胞株(KGN) を樹立し、そのステロイド産生能とFas依存性アポトーシス機構について検討したので報告する。【症例】73才女性。1984年5月 卵巣癌 stage IIIで腫瘍 摘出術施行。組織病理診断にて顆粒膜細胞癌と診断。1994年1月、骨盤腔内の再発腫瘍組織から培養細胞株 (KGN) を樹立した。
【樹立細胞株の特性】樹立された KGN細胞株は付着性で、核型は46XX,7q-,-22を示し、p53遺伝子はwild typeであった。細胞倍加時間は約48時間。同細胞はpregnenolone, progesterone 産生分泌能を有し、A-kinase系刺激でその分泌能は約20倍に上昇した。また、hCG, hMGの添加によりprogesteroneの分泌亢進を認めた。 RT-PCR解析で、KGN細胞における inhibin α, βA, βB-subunit, P450scc, p450arom, Ad4Bp/SF-1, StAR, Fas mRNAの発現が確認された。 IFN-γの添加により同細胞でのFas mRNAの発現は亢進し、 IFN-γ処理後のKGNに抗Fas抗体 (CH-11)を添加する事で、Apoptosis誘導が確認された。
【考察】 KGNは、その産生ステロイド種, ステロイド産生調節機構, IFN-γによるFasの誘導, Fas依存性アポトーシス誘導など、正常卵巣顆粒膜細胞の特性を比較的よく保持した細胞株であると考えられる。
【結語】KGN細胞株はステロイド産生能を有するヒト顆粒膜細胞癌細胞株であり、ステロイド産生調節機構や卵巣閉鎖過程における顆粒膜細胞のアポトーシス調節機構の解析等に有用であると考えられる。