ABSTRACT 2066(P9-4)
252Cf及びDEN誘発マウス肝腫瘍における性ホルモンの影響:中谷玉樹1,2 ,後藤孝彦1,2 ,丸山 聡1 ,藤本成明1,伊藤明弘1,土肥雪彦2(1広島大・原医研・予防腫瘍、2医・二外)
Influence of Sex Hormone on 252Cf or DEN Induced Liver Tumors in B6C3F1 Mice : Tamaki NAKATANI1,2 , Takahiko GOTOH1,2 , Satoshi MARUYAMA2, Nariaki FUJIMOTO1, Akihiro ITO1, Kiyohiko DOHI2 ( 1Dep. of Cancer Res. , Res. Inst. Rad. Biol. &Med. , 22nd Dep. of Surg. Hiroshima Univ. Sch. of Med. )
(目的)今回我々は、肝腫瘍に対する性ホルモンの影響について検討した。(対象と方法)雌雄B6C3F1 マウスを252Cf Neutron-irradiation (200 cGy)及びDiethylnitorsamine (DEN) にて前処置し更に去勢術を施行。DEN投与例においてはテストステロン投与群、プロゲステロン投与群、タモキシフェン投与群にグループ分けし、肝腫瘍の発現及び血清中の性ホルモンレベル、肝腫瘍内のBrdU染色等について検討した。(結果)252Cf前処置例では去勢により雌雄マウスにおいて肝腫瘍発現率が低下した。DEN前処置例雄マウスでは、DEN単独投与による肝腫瘍発現率は100%でマウス当りの腫瘍数は22.6個であった。去勢術施行例では、発現率は78.6%、平均腫瘍数は6.2個といずれも有意に低下した(P<0.01)。しかし、去勢術施行例にテストステロンの投与により発現率は100%に回復し平均腫瘍数も40.9個と著しい増加を認めた。BrdU 染色陽性細胞は、去勢術施行例に比べテストステロン投与群で有意に上昇した。一方、雌マウスにおいてはDEN単独投与群で肝腫瘍発現率8.6%に対し、卵巣摘出術施行例で79.4%まで増加し、テストステロン投与により更に93.8%まで増加を認めた。(結語) DEN投与後去勢術施行例の雌雄両性マウスにテストステロンを投与することにより、腫瘍の発現率及び平均腫瘍数は有意差に増加した。