ABSTRACT 2067(P9-4)
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ラット下垂体腫瘍増殖とPTTG遺伝子発現: 藤本成明、丸山聡、伊藤明弘(広島大学原医研 予防腫瘍分野)

Expression of the PTTG (pituitary tumor transforming gene) in a rat pituitary tumor cell line: Nariaki FUJIMOTO, Satoshi MARUYAMA, Akihiro ITO (Dept. Cancer Res., RIRBM, Hiroshima University)

【目的】 下垂体腫瘍に特異的に発現する遺伝子としてPTTGがMelmedのグループにより報告された。そこで我々はエストロゲン(E2)依存性増殖との関連においてPTTGの発現を解析した。【材料と方法】 F344雌ラットにDESペレットを3ヶ月投与し過形成下垂体材料を得た。E2依存性増殖をする下垂体腫瘍細胞MtT/ES株は、デキストラン・チャコール処理血清・フェノールレッド(-)培地で培養しホルモン添加した。PTTGのmRNAはRT-PCR法で半定量し、c-myc、cyclin D蛋白の発現はイムノブロットでみた。【結果と考察】 (1) 下垂体の重量はコントロール9.2±0.5mgに対しDES投与群で22.8±1.5mgであった。またMtT/ES細胞増殖は、10-11MのE2存在下でコントロールの6〜7倍/週であった。(2) PTTGのmRNA発現は、ラットの正常下垂体では検出されず、MtT/ES 細胞においては発現がみられた。しかし、細胞へのE2投与によってもその発現量に変化は観察されなかった。 (3) c-myc 蛋白の発現量はE2投与後24時間で4.8倍、cyclin D蛋白は2.2倍であった。E2依存性の乳癌細胞等で報告されてきたのと同様、MtT/ES細胞でもE2投与後、c-myc、cyclin Dの上昇がみられたが、そのときPTTGの増加は観察されず、E2の反応性との関わりは低いと考えられる。