ABSTRACT 2070(P9-4)
胃癌におけるガストリン受容体遺伝子の発現:宮治正雄、土屋いずみ、生越喬二、田島知郎、幕内博康(東海大・医・外)
Expression of gastrin receptor gene in gastric cancer: Masao MIYAJI, Izumi TSUCHIYA, Kyoji OGOSHI, Tomoo TAJIMA, Hiroyasu MAKUUCHI (Dept. of Surg., Tokai Univ.)
【目的】ガストリンの作用に腫瘍細胞の増殖因子としての概念が認められているが、臨床における胃癌や大腸癌でのガストリン受容体(GR)の発現の検討は少なく、特に、胃癌においてはGRの発現は認められなかったとの報告もある。われわれはこれまで胃癌の発生、増殖能、悪性度や予後に高ガストリン分泌環境が関わっている可能性を報告してきた。今回は胃癌におけるGR遺伝子の発現について検討したので報告する。
【対象と方法】対象は胃癌切除手術を行った47例で、腫瘍と周囲正常粘膜の凍結保存された標本から抽出したtotal RNAを用い、Reverse transcriptationの後、2 step PCRを行って、GR遺伝子の発現を確認した。47例の胃癌においてGR遺伝子の発現を検討し、臨床病理学的検討を行った。
【結果】胃癌におけるGR遺伝子の発現は47例中5例, 10.6%(T+,N+:3例、T+,N-:2例)に認められた。2)5例の臨床病理学的検討では、平均年齢60歳、全例男性、肉眼型は1型,3型,4型各1例、2型が2例、占拠部位はA:2例、AM:1例、MCA:1例、残胃の癌が1例、組織型はpor2例、sig1例、tub1,2各1例で、脈管侵襲は全例+であった。
【結語】胃癌のGR遺伝子の発現が10.6%に認められ、腫瘍増殖能や悪性度に影響を及ぼす可能性が示唆された。