ABSTRACT 2073(P9-5)
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悪性glioma細胞の産生するthrombospondin-1 (TSP1)による潜在型TGF-βの活性化:佐々木厚1, 川瀧智之1, 田坂捷雄2, 長沼博文1(山梨医大・1脳外, 2寄生虫・免疫)

Latent TGF-β activation by thrombospondin-1 secreted by malignant glioma cells: Atsushi SASAKI1, Tomoyuki KAWATAKI1, Kachio TASAKA2, Hirofumi NAGANUMA1 (Dept. of 1Neurosurg., 2Parasitology and Immunology, Yamanashi Med. Univ.)

【目的】我々は、悪性glioma細胞はTGF-βの産生・活性化能を持つが、TGF-βによる増殖抑制を受けないことを報告した。活性型TGF-βは免疫を抑制し、細胞外matrixの産生を促し、腫瘍の増殖・進行を促進すると考えられるが、悪性glioma細胞によるTGF-βの活性化機序は明らかでない。TSP1は血小板から放出される因子として発見され、潜在型TGF-βの活性化能を有する。今回、悪性glioma細胞におけるTSP1の産生とTGF-βの活性化への関与について検討した。
【方法】1)TSP mRNAの発現:RT-PCR法を用いて悪性glioma細胞株でのTSP1, 2のmRNAの発現を検討した。2)TSP1の発現:TSP1の発現をWestern blot法を用いて検討した。3)TSP1によるTGF-βの活性化:T98G細胞の培地中に抗TSP1抗体を入れ培養後、上清中の活性型TGF-β1をELISA法で定量した。
【結果】対象とした全悪性glioma細胞でTSP1 mRNAが発現し、更に培養上清中にTSP1が検出された。T98G細胞の培養上清中の活性型TGF-β1は抗TSP1抗体によって有意に減少した。
【結論】悪性glioma細胞が産生するTSP1がTGF-βの活性化に関与していると考えられた。