ABSTRACT 2075(P9-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト前立腺癌におけるインヒビン/アクチビンサブユニットの発現の検討:
千野健志、石田 肇、岡田清己、江角真理子 (日大医・1泌、2病理)

Expression analysis of inhibin/activin subunit mRNA in prostate cancer : Kenji CHINO1, Hajime ISHIDA1, Kiyoki OKADA1, Mariko ESUMI2 (1Dept. of Urol., 2Dept.of Pathol., Nihon Univ. Sch. Med.)

【目的】インヒビンとアクチビンは、TGF-βスーパーファミリーの1つでそれぞれfollicle stimulating hormone(FSH)の分泌抑制と分泌促進する物質として発見された。これらは2量体を形成し、3種のサブユニットα、βA、βBの2つから構成されている。インヒビン(αβA、αβB)はアクチビン(βAβB)受容体に拮抗的に結合しアクチビン作用を抑制することが知られている。最近アクチビンはTGF-β同様、前立腺の細胞増殖抑制に関与し、前立腺癌細胞株ではアクチビン機能が抑えられるため増殖促進がみられることが示された。そこでわれわれは、ヒト前立腺癌の増殖にアクチビンの抑制機構が関与するか否かを調べる目的で、3種のサブユニットmRNAの発現を検討した。【対象および方法】対象は正常前立腺組織(前立腺肥大症を含む)15例、前立腺癌組織31例(内分泌治療施行13例、内分泌治療未施行18例)の46症例とした。各々の前立腺組織よりRNAを抽出し、半定量RT-PCR法により α、βA、βBの発現量を検討した。【結果】α、βAの発現量を検討したが正常前立腺組織、前立腺癌組織の間に有意差は認められなかった。【考察】インヒビンのαサブユニットの発現量に有意差が認められなかったことより前立腺癌の増殖においてインヒビン量の増加によるアクチビンの抑制機構の関与は少ないと考えられた。現在βB、アクチビンレセプターについても比較検討中である。